【詩】成人

天国まで続くエスカレーターには
世の中と云ふ壁が千本鳥居のやうに
わたしの行く手に立ち塞がつてゐる
よく観察すると普通と云ふ抜け穴があるが
普通の抜け穴は決まつた型をしてをり
身体を型に合はせなければ通れない
ぶつかつても 緊急停止装置はなく
エスカレーターは否応なく進むので 
わたしは泣き泣き 関節を外して通るのだ
あと何回あるとも知らづ
天国は果てしなく遠い