【詩】プラチナ・エイジ

わたしが今までに出会つた老人に
フィクションで登場するやうな
老紳士 老淑女はゐませんでした
みんな 月日と共にすり減り
若さゆへの輝きをなくし
汚れてゐました
吉行淳之介が云ふには
「汚れるのが厭ならば
生きることを やめなくてはならない
生きているのに 汚れていないつもりならば
それは鈍感である」さうです
わたしが今までに出会つた老人に
フィクションで登場するやうな
老紳士 老淑女はゐませんでした
みんな 汚れることから逃げづに
皺と云ふ年輪を刻める人たちでした