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茶湯からの、便り 一

一番静かな踊り
美しくかっこよく
指先までかかとまで
身体に軸をもって
舞うように
軽すぎず重すぎず
地面を舞うように
茶をいれる

水面にとびこむ蛙がみえたような
濃い
美しい苔の張った丸い水面に
吸い込まれるように
飛び込んでゆく

まろやかな
やわらかな
お湯がやさしく
電気ではなく炭火のあたたかさを
自然のやさしさを味わう

冬の霜がはったような乾菓子をいただきながら
これから一層肌寒くなる冬を楽しみに思う
霜のしゃくしゃくとしたあの独特の音や感覚を思い出す

松の葉を季節外れの蚊取り線香に取り違えつつ
おりたたんでひょいと口の中に入れる
繊細なきな粉の風味がする
アメリカにはこんなお菓子はないだろうな

繊細で
微細
細かく、微かな
美しさや、感覚を
全身であじわう

私もいつか
微細に舞いたい

2020.11.06 夜 炉

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