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魔法の小瓶はビタミンカラー

おとぎ話の世界じゃなくたって、とんがり帽子の魔法使いが現れなくたって、「魔法のアイテム」は存在する。

わたしにとってはじめての、「魔法のアイテム」は、まばゆくきらめく小瓶です。青に、オレンジに、きらきらまである すてきなすてきなマニキュアです。

日曜日の早朝、夜勤があけると、わたしは魔法をかけます。

カバンや上着をぺいぺいっとイスに投げて、シャワーを浴びて前屈とか開脚をして、机の引き出しの上にある、ちいさな箱を開けると、キャップをくるり と2周。
先週は青色だったな、と思いながら今週はオレンジ色をつめにのせていきます。

かわいたら、きらきらの入った小瓶にもちかえて、上からきらきらをのせます。

今週も、「やさしさを受けとる誠実さがもてますように」「ありったけの思いを、いとおしい人たちに伝えられますように。」

わたしの、勇気の魔法の完成です。

お化粧品なんて、一生縁がないと思ってた

高校のとき、なんとなく、お化粧をしている友だちはいました。大学で初めて参加したレクリエーションのとき、たくさんの人が、お化粧をしていました。

でも、何となく自分とは無縁の世界だなあと、思っていました。「思っていました」とは言うものの、未だにほとんど化粧っけはなく、この間先輩のお誕生日プレゼントを渡させてください!っって先輩にお会いできたときに「久しぶりにお化粧するなあ」と思って以来、一切さわっていません。そこからももう、1月近くたたんとしているので、今でもお化粧とは縁遠い生活を送っています。

大学生になって、はじめての誕生日に、部活の先輩からマニキュアのセットをいただいたんです。きれいだなあ、すてきだなあと思って、大事にしよう と思ったものの、使ったことがなさすぎて どきどきしていました。

自分にとってほとんどはじめてのお化粧品でした。でも、不思議と「使ってみたい」と思っていたのを覚えています。

足りない自分に、魔法をかけよう

わたしは、やさしい言葉をまっすぐに受け取る 誠実さが足りません。思ったことをまっすぐ口に出す勇気も、人とまっすぐかかわる勇気も、たくさんたくさん足りません。
ずっとずっと、足りていないことにも気がついていませんでした。

ほめていただいた言葉を素直にいただくことも、「すてきだ」「すごい」と口に出すことも、 人の名前を呼ぶことさえ、上手にできないくらいでした。しかも、これは幼い時とかの話じゃあなく、大学生になってからもです。

あたまにはずっと、「不快にさせてしまったらどうしよう」「怒らせてしまったらどうしよう」「不快にさせてしまったのでは」って、まだ怒られてもいない、相手の感情を悪い方に悪い方に妄想してばっかりいたんです。しかもそれが、普通でないことに全く気がついていないから本当に、タチが悪いというか よくなかったんです。

「質問箱」というサービスが流行ったとき、ずっと先輩が教えてくださっていたことを考えられずに、自分の「嫌われたらどうしよう」とかいう感情に任せて(その時は本気で深刻に考えていた) 先輩にいやな思いをさせてしまったことがありました。 今になって、改めて最悪なやつだなあと自分のことを思うのですが、「先輩が教えてくださってたこと」を改めて、しかもSNSで聞くようなことでもなかったのに、など、タイムスリップできるならスマホ奪い取ってばきんばきんにしたいくらいです。
正直、自分のしたことは鈍すぎるとかじゃなくて率直に最低だと思う。



あいかわらず「嫌われること」とか「怒られること」は怖いなあと思うし、家に帰ってから机の下で「あんなこと言ってはいけなかった…怒らせてしまったかもしれない…」と反省会を挙行することもあるのですが、「きっと、怒るときは教えてくれる/くださる」と思っているところもあるし、「そんなことで怒らない」って何度も教えてもらったりするうちに回数もぐっと減りました。このnoteを書いていて思ったのですが、一人反省会、しばらくやっていません。

自分に足りない勇気も誠実さも、朝家を出る前に 靴下を履く前に見える、ビタミンカラーのペディキュアが勇気づけてくれているのではないか、と思っています。

理屈じゃなくて、自分の気持ちの中でではあるけど、「すきな先輩にいただいたマニキュア」を見たら、「すきな相手を大事にするんだ」ということをきちんと足元から意識できるような気がするんです。

まだ足りないけど、小瓶の魔法は続くから

大学はいりたてのときより、確実に「魔法の小瓶」で勇気や誠実さをいただいているわけですが、やっぱり人間関係はへてくそなところがまだ多い、と思います。自分の足りないところは「誠実さ」「勇気」の他にもきっとあるはずなので…。

でも、「変わった」んです。
新しい髪型をほめていただいたとき、インターンの課題で先輩に「教えてください!」ってラインしたとき、魔法の小瓶をくださった先輩がわたしに、「変わったね」と、何度もいってくださったんです。

自分が変わったのか、先輩からいただいた魔法のおかげで変われているのか、わからないけれど、この小瓶の香かはずっと続いていくんだ、と思っています。

自分なんて、人に好かれるはずない!って思ってたし、「どうしたら怒られないかな」って人間関係を考えていた自分が、今、「すきな人がすき!」って声を大にして言える。

この「私信エッセイ」だって、「すきな人たちのことをエッセイに書く」という試み。「わたしはこの人のことがすきなんです!」ってnoteで発信してるわけですから。言ってて照れますが、すきな人をすきと言えること、すきな人に「喜んでもらいたい」ってかかわれるようになったこと すきな人の名前を呼べること 

魔法の小瓶はわたしには効果てきめん。これからも、すきな人を大切にするために すきな人の楽しそうな顔をみていたいから、先輩からいただいた魔法を、かけ続けます。

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