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走れメロス(最終回)

太宰治
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青空文庫より、
太宰治の「走れメロス」
を4回に分けて読みました。
その最終回です。

《ふわっとあらすじ》

メロスは再び力がみなぎり
風のように走り抜けた。

途中、旅人とすれ違ったとき、
セリヌンティウスがもう
磔にかかっているだろうという
会話が聞こえてきた。

メロスはほとんど全裸だった。
呼吸もままならず、血も吐いた。
身なりなどはどうでもいい。
彼を死なせてはならない。

すると、
「メロス様!」という声が聞こえてきた。
メロスは走りながら誰かと聞くと、
それはセリヌンティウスの弟子の
フィロストラトスという若者だった。

フィロストラトスは
「ご自分のお命が大事です。
もう間に合いません。走るのは
お止めください。」と懇願した。

しかしメロスは諦めなかった。
まだ日は沈まぬ。
間に合う間に合わぬは問題でないのだ。
人の命も問題ではないのだ。
もっと恐ろしいもののために
私は走っているのだ、と。

フィロストラトスは
これよりもう、言葉はなかった。

メロスは死力を尽くして走った。
そして、
陽が沈み空の残光も消えようとしたとき
メロスはセリヌンティウスのいる刑場に
突入した。間に合った。

セリヌンティウスの縄は解かれた。

メロスはセリヌンティウスに
私を殴れといった。
セリヌンティウスはすべてを察すると
メロスを殴った。
反対に
セリヌンティウスも殴ってくれといった。
友と友は互いに泣いて抱擁した。

それを見ていた王ディオニスは
自分が間違っていたことを認め
仲間にして欲しいといった。

群衆は歓声をあげた。

そこへ一人の少女が
メロスに緋色のマントを差し出した。
全裸の勇者は思わず赤面した。


《語句解説》

五臓:人体の五つの内臓。心臓・肝臓・肺臓・脾臓・腎臓。
風態(ふうたい):風体のことか。身なり。おもむき。
全裸体:まるはだか。
塔楼:タワー状の高層建築物。物見やぐら。
言うにや及ぶ:言うまでもない。
残光:日没後なお空に残っている光。
刑吏:刑を執行する役人。
歔欷:すすり泣くこと。むせび泣き。
緋:濃く明るい赤色。緋色。

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音声配信アプリstand.fmにて、
「しんいち情報局(仮)」の
「朗読しんいち」を
担当させていただいています。

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