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羅生門(前編)

芥川龍之介
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青空文庫より、
芥川龍之介の「羅生門」
を2回に分けて読みました。
その前編になります。

《ふわっとあらすじ》

ここ数年京都は災いが続き
都は随分さびれてしまった。
治安も悪く、
人々は日々の生活に困窮し
飢え死にする者も多かった。

引き取り手のない死人は
羅生門の下に捨てていくという
悪習さえできた。


ある下人が羅生門の下で
雨宿りをしていた。
とはいえ、
勤めていた主人から暇を出されたので、
雨が止んでもどこも行く当てはない。

彼は羅生門で一晩過ごすことにした。

楼の上からはかすかな灯りが
あちこち動いているのが見えた。
死人ばかりではなく誰かがいるらしい。
彼は楼の上へ出る梯子段を慎重に上った。

恐る恐る中を覗くと、噂通り
そこにはたくさんの遺体があった。
たまらず鼻を覆った。

しかし、その臭気を忘れるほど
強い感情が彼を支配した。

灯りを動かしていたのは
猿のような老婆で、
暗い楼の中、
松の木切れが燃える火を照らしながら、
死骸を物色していた。

おぞましい光景に息をのんだ。

そして老婆は
ある女の死体に当たりをつけると
その首に手をかけ、
女の長い髪を一本一本抜き始めた。


《語句解説》
雨やみ:雨が降り止むこと
丹塗(にぬり):丹または朱で塗ること。
朱雀大路:平安京のメインストリート

市女笠(いちめがさ):女の商人
揉烏帽子(もみえぼし):漆を塗って柔らかくした
           烏帽子(をかぶっている人)

辻風:つむじかぜ
料(しろ):材料

狐狸(こり):きつねとたぬき
日の目がみえない:陽が沈む
足ぶみしない:その場所にとどまらない

鴟尾(しび):古代の宮殿や寺院などの
      大棟の両端に据えられた飾り

襖(あお):昔の武官の制服で、
     両方の脇を縫い合わせない上着
尻に据えて:座布団代わりにしている

申の刻下り:午後四時すぎ
築土(ついじ):屋根を瓦でふいた塀
低回:いろいろ考えめぐらすこと
逢着:行き当たる

汗衫(かざみ):あせとりの下着

聖柄:三鈷柄 (さんこづか) の刀剣。
   一説に、柄に鮫皮 (さめがわ) をかけない
   木地のままのものともいう。

鞘ばしる:刀身が自然に鞘から抜ける

檜皮色(ひわだいろ):黄みの暗い茶褐色
頭身の毛も太る:恐怖で身の毛がよだつ

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音声配信アプリstand.fmにて、
「しんいち情報局(仮)」の
「朗読しんいち」を
担当させていただいています。

しんいち情報局(仮)
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https://stand.fm/channels/623f0c287cd2c74328e40149

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