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走れメロス(第一回)

太宰治
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青空文庫より、
太宰治の「走れメロス」
を4回に分けて読みました。
その第一回目です。

《ふわっとあらすじ》

メロスは村の若い牧人である。
今日は、16歳になる妹の結婚式の
準備のために、村から40㎞離れた
シラクスの市までやってきた。

市で石工をしている幼なじみの
セリヌンティウスにも会うつもりだ。

ところが二年ぶりに訪れた市の様子を
どこかがおかしいとメロスは思った。
町はやけに静まりかえっており、
夜だからというわけでもなさそうだ。

道行く者に理由を聞いたが
何も答えてくれなかった。
やっと重い口を開いてくれた
老人の言うことには、
王様はたくさんの人を殺しているという。
人が信じられぬ、といい、
疑いをかけては次々と殺していくのだと。

メロスは激怒した。
「呆れた王だ。生かしておけぬ。」
メロスは政治のことはわからない。
しかし、悪徳を誰よりも
許せない性格であった。

メロスは買い物を背負ったまま
王城に入っていった。
メロスはすぐに捕まり、そして
王ディオニスの前に連れてこられた。

王の面前においてもメロスは
ひるむことなく、王を非難した。

王はメロスの言う綺麗ごとが
信じられない。
メロスはこのまま
磔の刑になろうかという時、
メロスは村に残した妹を思い出した。
磔になるのは望むところだが、
妹の結婚式だけが心残りだ。

そこで親友のセリヌンティウスを
自分の身代わりにすることと引き換えに
メロスは磔の刑までに
3日間の猶予をもらった。

3日目の日没までに戻らなければ
セリヌンティウスが磔になる。

王はメロスに
わざと少し遅れてくれば、
お前の罪は永遠に許してやろうぞ、
とそそのかしてきた。

城に呼び出されたセリヌンティウスは
何も言わず人質を引き受けた。
メロスが村に帰り妹の結婚式を挙げ、
3日のうちにまた市に戻ってくる約束を信じた。

初夏の満天の星のなか、
メロスは出発した。


《語句解説》

邪知暴虐:悪いことに知識がよく働き、
     乱暴な行動で人々を苦しめること。
牧人: 牧場で牛馬などを飼育する人
十里:一里=約4㎞。約40㎞。
竹馬の友:幼ともだち。幼なじみ。
石工:石材を加工したり組みたてたりする人。
   またその職業のこと。
老爺:年をとった男性。老翁。
語勢:言葉の勢い。語気。語調。
低声:ひくいこえ。また、こごえ。
悪心:恨みを抱き、悪事をしようとするよこしまな心。
賢臣:賢明で有能な臣下。
巡邏(じゅんら):見回って警戒すること。見回り。
警吏:警察官。
捕縛:とらえて縛ること。
憫笑:あわれんで笑うこと。
反駁:他人の主張に対して論じ返すこと。反論。
悪徳:道義に外れた言行。
嘲笑:あざわらうこと。
下賤:いやしいこと。身分が低いこと。
報いる:受けた事に対して、それに見合う行為を相手に行う。
日限:前もって期日を限って定めること。
北叟笑(ほくそえ)む:うまくいったことに満足して、
          一人ひそかに笑う。
奴輩:人々を卑しめていう語。あいつら。


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音声配信アプリstand.fmにて、
「しんいち情報局(仮)」の
「朗読しんいち」を
担当させていただいています。

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