おおさき@小さなIT活用で快適な農場づくりを
【自作ツール】育苗管理用のLINE bot作って運用してみました【GAS】
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【自作ツール】育苗管理用のLINE bot作って運用してみました【GAS】

おおさき@小さなIT活用で快適な農場づくりを

はじめに

育苗」とは、ビニルハウスなどの温室で農産物の苗を育てる作業です。
作物によっては、ある程度コントロールの効く温室環境で一人立ちできる状態まで育ててから畑に植えることで、直接種まくよりも発芽率をあげたり天候や病気の影響を抑えたりと、効率よく強い作物を作ることができます。

当農場では、ビニルハウスで「ビート(てん菜)」の苗を育てています。

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育苗作業では、主に水管理・温度管理が大切になってきます。

水管理は、乾燥しすぎないように土壌水分を確認しながらタイミングを見て散水してあげます。

散水のようす(※音が出ます!)

温度管理は、気温と天候を見ながらハウスの開閉を行って調整します。

例えば日中は温度が上がりすぎないように外気温を入れて温度を下げるのですが、苗が小さいうちは冷たい風も当てられないので、温度が上がっているのに開けられない、ということもあります。
ハウス内の温度が高すぎると、徒長といってヒョロヒョロとした貧弱な苗に育ってしまう可能性が高いので注意します。

今回はこの温度管理を数値で見られるようにするために、比較的安価な温度計デバイスを使って温度を計測、その情報をスマホで確認できるようなLINE botを作成して実際に自身で使ってみました。


制作したモノ

育苗ハウスの温度管理に役立つLINEbot。
ついでに、作業暦に基づいたスケジュールのリマインダも送ってくれるように制作しました。

できること1:ハウス内の温度を知ることができる
・ 現時点の温度を知りたい場合に、LINEを開いてメニューをタップすると教えてくれます
・毎朝、前日の平均温度や最低&最高温度・積算温度のまとめを教えてくれます

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できること2:作業スケジュールをプッシュ通知してくれる
・毎朝、事前にスプレッドシートに入力しておいた栽培暦から、直近の作業を教えてくれます

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使用デバイスとサービス

T&D 温度測定データロガー「おんどとり」 TR-71wb

こちらを使用してビニルハウス内の温度を記録しています。

産業用の温度ロガーとしては比較的安価で、電池で動作するため電源不要・防水性もあるようです。
WiFiに繋げることでデータがクラウドに蓄積されるため、公式のWebサービスを利用して測定温度や、これまで測定したデータをグラフで見ることができます。

こちらが公式のサービス。

おんどとり Web Storage | ティアンドデイ

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スマホアプリもあり、そちらでは指定温度になるとアラートを送ってもらえるように設定することもできるので、とても便利なデバイスです。

さらには開発者向けに現在温度や過去の温度を取得するためのAPIを提供してくれているため、プログラムを組んでデバイスから情報を取得することができます。

今回制作したLINE botはこのAPIを活用して制作しました。

課題と企画

今回のLINE botを制作するにあたって課題として抱いていたのが、

・温度を把握することで「農家のカン」にあまり頼らず温度管理をしたい

というところでした。
先ほど紹介したアプリの機能の他に、もう少し詳細なデータが欲しいと思う部分がありました。具体的には、

・最低温度・最高温度を毎日継続して把握したい
・積算温度を算出してみて育苗に役立つのかどうか調べてみたい

というところです。

ハウスの育苗管理は今のところ主に経営主である父親が担当しているため、実は僕にあまりノウハウが貯まっていません。
これまでも「夕方はどのくらいの温度を目安にハウスを閉めれば良いのか」を聞いた時に、あまり明確な答えがなくとてもモヤモヤしたのを覚えています。

データで温度変化を見ることで両親(他の作業者)の作業がデータとして記録できるので、ノウハウを可視化することにも繋がるのかな、と思いました。

最初は温度管理のみを課題としてLINE botを作成していましたが、後に作業のスケジュールをプッシュ通知で教えてくれると便利だなと思い、スケジュールのリマインダ機能を後付けでつけることにしました。


制作した感想と気づいたこと

毎朝、昨日の最低温度・最高気温などが流れてくるため、ストレスなく作業の振り返りを行うことが出来ました。感覚で思っていたよりも日中の温度が上がりすぎているんだな、というのがわかりました。

積算温度の算出は、あまり当農場の育苗作業には役立たないな...と思いましたが、別作業の温度管理で生かせることがありました。別の機会に書きたいと思っています。

またスケジュール管理の面で、ちょっとしたことですが、育苗日数(種をまいた日〜畑に移植する日)をカウントダウンするようにしてみたのが何気に良かったです。生育の進捗状況を意識することができて、作業スケジュールを立てやすくなりました。

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今後の課題

来年の3月〜4月にはまた同じように育苗作業を行います。
それに向けて改善していきたいので、今回実際に運用してみて見えてきた課題を整理してみました。

作業のリマインダをもう少し使いやすくしたい
作業暦を事前にスプレッドシートに記入し、それをそのままプッシュメッセージでリマインドしてくれるようにしたのですが、実際にはそのスケジュール通りに作業ができることはあまりありません。
天候や生育状況によって作業がずれるので、ずれも考慮してスケジュールを確認できるような仕様にしたいです(具体的な実装が今は思い浮かばないのですが...)。

家族(=他の作業者)との情報共有に役立てたい
今回はこのLINE botを自分一人で使っていましたが、家族(他の作業者)に使ってもらうことで作業の共有により役立てたいと思っています。
例えば何か作業したらLINEのメニューをタップすることで育苗の作業記録を入力できるようにすると、作業の共有が楽にできそうです。育苗作業に関してはだいたいやる作業が決まっているので、タップ入力だけで実現できそうに思っています。

土壌水分を測定して水やりのタイミングを知りたい
土壌センサーを使用して土壌水分を計測することで、温度管理だけでなく水の管理にも役立てたいなと思っています。「Agri palette」というサービスがとても気になっています。

おわりに

作ったものを実際に運用してみると、いろいろ課題が見えてきて面白いです。また取り組みを人に話すことで、さらに課題が見えてきます。

普段の作業が便利になるようなことを近隣の農家とも共有できるように、農業とプログラミング・データ活用の仕方をもっと学んでいきたいな、なんて思います。


MEMO

使用した技術
・GAS(Google Apps Script)
・SpreadSheet(データベースとして)
LINE Messaging API
おんどとり WebStorage API

ソースコード
GitHub - Massasquash/ThermometerManager




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ありがとうございます!
おおさき@小さなIT活用で快適な農場づくりを
北海道 十勝の畑作農家。 1988年生まれ。農作業を楽しく続けるため、現場で活用できるIT技術を学んでいます。ノンプロ研所属。農村風景/農業経営/IT活用/自作ツール(GAS, Python, ノーコード)をテーマに、日々の学びを発信🌾