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GPSガイダンス・自動運転による農作業への効果と導入コスト

はじめに

前回の記事では、GPS/GNSSについての基本的な知識と、農業で普及しているガイダンスシステム・自動操舵システムについてお話しました。

今回の記事では、これらのシステム導入による効果と、精度と導入コストについて見ていきたいと思います。
もし導入を考えている方がいれば参考にしていただける内容かなーと思います。


システム導入による効果

まず、ガイダンスシステム・自動操舵システムを導入することで農作業がどう改善されるか?という効果についてお話しします。
色々ありますが、

・肥料や薬剤散布量が正確になり作業効率が上がる(共通)
・経験の浅い作業者にも任せられる(共通)
・作業者の負担が大幅に軽減できる(自動操舵)
・夜間でも安全に作業を行うことができる(自動操舵)

などが挙げられます。

何も目標物のない田畑や牧草地でも真っ直ぐ作業機幅に合わせて走行できるため、無駄な資材費や人件費(自分や家族の労働時間も含めて)を省けることになります。

また、農薬散布や肥料散布時にガイダンスがあると、どこまで作業したかが履歴として残ります。重複ややり忘れを防ぐことができて安心、というのをすごく実感しています。

自動操舵にするとさらに、作業者の肉体的・精神的なストレスも段違いですね。


ガイダンスの精度と導入コストは?

次に気になるのは、精度とコスト感についてです。
ここでは低精度(スマホなど)・中〜高精度(市販GNSS受信機)・超高精度(高性能GNSS+RTK)の3つでそれぞれみてみましょう

ガイダンスで現在地を測定する精度は、基本的には「どれだけの衛星からの電波を受信できるか?」というのが重要になってくるようです。

最小限のGNSS端末だと精度が悪く、数mもの誤差が出てしまいます。
例えば皆さんの手持ちのスマホ内蔵GNSSだとコストゼロで使うことができるのですが、農業現場で実際に活用するにはちょっと誤差が大きすぎます(下記まとめの「低精度」)。

そこでスマホの代わりに、より性能の高いGNSS受信機をトラクターに取り付けて使用することで、現在地の誤差を小さくすることができます。多くの衛星からの電波を受信できるほど精度が上がります(下記まとめの「中〜高精度」)。

これだけでも作業によっては充分なのですが、さらに播種作業などの精密な作業に活用するには、より高精度なRTKという測位方法を使う必要があります。
今回詳しくは説明できませんが、基準局からの補正情報というのを組み合わせることで、現在地の誤差を数cm程度にまで抑えることができるのです(下記まとめの「超高精度」)。

まとめると、次のようになります。

【低精度】端末内蔵GNSS
誤差数メートル。ほぼコストなし。
実際の活用は難しい。

【中〜高精度】市販GNSS受信機
誤差1m〜数10cm程度。コスト数万〜数十万と幅広い。
現在ガイダンスシステムとして販売されているものは数十万程度の高精度GNSSにあたる。

【超高精度】高性能GNSS受信機とRTK測位
誤差数cm程度。コスト数十万〜数百万+基準局の利用料もかかる。
超高精度のガイダンス・自動操舵に活用される。自動操舵の場合はトラクターに搭載するジャイロセンサーなどの性能も重要になる。

精密な作業をするためにはもちろんですが導入コストが上がってしまいます。ガイダンスにするか自動操舵まで行うか、そのトラクターでやりたい作業に応じて選択する必要がありますね。

精度と導入コストについては、こちらのページが参考になりました。もっと具体的にまとめられているので、ぜひ参考にしてみてください。


おわりに

さて、今回はガイダンスシステム導入を考える際に気になる、具体的な導入効果とコスト感について整理しました。

次回の記事では少し視点が変わりますが、この自動運転技術がどう発展して、どう農業が変わっていくのか?について、お話ししてみたいと思います。

⬇︎次回記事


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