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【AgriBus導入記録01】RTKで高精度な自動操舵を実現するための準備をしよう

はじめに

 こちらは、農業向けガイダンスアプリ「AgriBus-NAVI」と自動操舵システムの導入記録シリーズとなります。

前回・前々回の記事で、農業情報設計社さんのAndroidアプリ「AgriBus-NAVI」の無料プランでガイダンスシステムを試してみました。

ここからは、いよいよ自動操舵システムの導入についてまとめていきます。

なかなか初めて導入する際には、何をどうして良いのかわからないことが多いかと思います。
僕も最初はそうでしたが、調べたり周囲の人に聞きながらいじっているうちに徐々に仕組みを理解してきたので、このように記録として記事に残していこうと思いました。

今回の記事では、まず導入のための準備編として、自動操舵システムに必要なRTK測位についての知識と、システム導入の流れを整理しておきます。


自動操舵システム導入の概要

本題に入る前に、自動操舵システムを導入するためには何を準備する必要があるのでしょうか?

下記の農業情報設計社さんの公式ページを見ながらイメージを掴んでいきたいと思います。

今回やりたいことは、このページの「STEP5 自動操舵を実現したい」にあたります。ここでは以下のように記載されています。(部分引用)



超高精度「センチメートル級」の位置情報を用意する
(省略)自動操舵を実現するには、更なる超高精度「センチメートル級」の位置情報が必要となります。それを可能とするのが、RTK測位となります。

(省略)RKT測位とは、簡単に説明すると、GPS/GNSSの位置情報を、基準局(BASE)と移動局(ROVER)の2か所で取得して、その差分を読み込ませること=「補正情報の転送」で位置情報のずれを修正する方法です。

自動操舵を使うためにはRTK測位という方法を使い、それには「基準局(BASE)」と「移動局(ROVER)」という二箇所でGNSS位置情報を取得できるようにすることが必要、とのことです。

次に、具体的に農業情報設計社さんの商品で必要なものとして、



自動操舵の実現のために必要なもの
①AgriBus-AutoSteer
②AgriBus-G2
③ステア取付金具(金具の製作は私たちで承りますが、取り付けはご自身に行っていただくことになります)
④RTK補正情報の用意(AgriBus-GMiniRをご自宅に設置するなど)


これらを購入して準備しておく必要があります。

必要な情報を整理しながら、詳しく見ていきますね。


【用語の整理】RTK測位について

まずはRTK測位について。
技術的な仕組みのことはあまり触れられませんが、最低限この辺りを押さえておけば活用する分にはまず十分かな〜というところを整理しておきます。

「RTK測位」とは、GNSSでの測位(位置情報を測定すること)を高精度で行うための方法の一つです。
一般にGNSS測位の方法は、大きく「単独測位」と「相対測位」に分類されるのでしたね。RTK測位はこのうちの「相対測位」に分類されます。

⬇︎参考:こちらの記事の「【用語の整理】単独測位と相対測位」の項目

相対測位であるRTK測位を行うためには、複数の受信機を使用する必要があります。
それが「基準局(BASE)」と「移動局(ROVER)」にあたります。
イメージとしては、固定場所に立てた電波塔が「基準局」、実際に測位を行いたい場所(手持ちのスマホや作業中のトラクター)が「移動局」になります。

仮に移動局のみ…つまりスマホやトラクターのGNSS受信機で単独測位をするだけだと、前回記事で試したとおり誤差が大きく出てしまいます。
そこで、精度を上げるために実際の座標がわかっている基準局を使います。
基準局で測位した座標と実際の座標から、「補正情報」という測位のズレのデータのようなものを計算し、それを移動局にリアルタイムで送ることで、測位精度を高めることができる!…というような仕組みです。

よくガイダンス・自動操舵システムでRTK測位を使うと「FIX」という言葉が出てきますが、これは移動局で補正情報を受信できた状態のことを言います。

ちょっと説明が大雑把すぎて怒られてしまいそうですが…利用する分にはこのくらいの理解があれば問題ないかと思います。



COMMENT
RTKで基準局を使うにはその地点の座標を使用するのですが、その際に

・座標が既にわかっている場所ならその座標値を使う
・なければ単独測位で一定時間の平均値をとり、その数値を使う


という方法があります。今回使うGNSS受信機AgriBus-GMiniRでは後者の方法をとっているようなので、実際に基準局を用意する際にまた触れていきます。


自動操舵システム導入の流れ

次に、今後のシステム導入の流れを整理しておきます。
今回見ていく方法で自動操舵をするためには、

AgriBus-GMiniR(RTK補正情報のための基準局)
AgriBus-G2 + AgriBus-AutoSteers +取付金具のセット

これらを農業情報設計社さんから購入しておく必要があります。
また、Androidタブレット(GPS、Bluetooth搭載)「AgriBus-NAVI」スタンダードプランの定期購読も必要になってくるので、導入を検討している方はあらかじめ用意しておきましょう。

(1)基準局の準備:自宅に受信機とアンテナを設置する
まず、RTK補正情報を使うために必要な「基準局」を自宅に設置します。
GNSS受信機としてAgriBus-GMiniRを使います。
また、セッティングのためにAndroidアプリAgriBus-GToolsを使用しますので、あらかじめインストールが必要です。



COMMENT
RTK補正情報を使うための方法は、

・RTK基準局を自宅に設置する方法(今回の方法)
・他の基準局を使う方法


があります。普段NtripやホクレンRTKシステムを利用している場合は後者の方法になり、自宅に基準局を用意しなくともRTK補正情報を受け取ることができるので、この項目は飛ばしても大丈夫です。(設定方法などは使用しているシステムによって変わってきますのでご注意ください)



(2)移動局の準備:トラクターに受信機とアンテナを設置する
次に、自動操舵システムを取り付けたいトラクターにGNSS受信機「AgriBus-G2」を設置して、移動局としてセッティングします。
こちらもセッティングにはAndroidアプリ「AgriBus-GTools」を使用します。


(3)トラクターのステアリングハンドル交換
続いて、トラクターのハンドルを既存のものからモーター付きの「AgriBus-AutoSteer」と交換します。この際に、トラクターに応じた取付金具が必要になります(AutoSteer購入時にセットとなっています)。

(4)アプリのセッティング
ここまで設置ができたら自動操舵の準備は完了です。
最後にAndroidアプリ「AgriBus-NAVI」をセッティングして自動操舵が可能になります。
この調整がなかなか難しく僕も勉強中ですので、この項目は徐々にアップデートしていきたいと思います。


おわりに

さて、前置きが長くなってしまいましたが、自動操舵システムで使われるRTK測位の仕組みと、導入の流れのイメージは湧いたでしょうか?

次回からは今回見てきた「RTK自動操舵システム導入の流れ」に従って、実際に設置する様子を整理していきます!


参考リンク

今後、困ったときに参照するリンクを載せておきます。

●公式マニュアルページ

●公式ヘルプページ

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