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農業日誌「長芋畑の近況と管理作業」

はじめに

早いものでもう6月。
6月は旧暦で「水無月」と呼びますが、これは「水の月」という意味があるそうです。雨の多い梅雨の時期だったり、田んぼに水を引く時期にあたるから、という語源があるそうです。

今年の十勝は、程よく雨も降り順調な天候が続いています。
昨年のこの時期はなかなか雨が降らずに苦労した覚えがあります。土がパサパサで効果的なタイミングで作業ができず、作物にとっても土からうまく栄養を吸収することができず、初期の生育に影響が出ていたのは記憶に新しいです。

当農場では蒔き付け作業が無事に終わり、張り詰めていた緊張もひとまずゆるみました。現在は「管理作業」と言って、作物の種をまいてから収穫するまでの期間、作物が病気や虫の被害にあったり栄養不足に陥ったりすることなく健康に育つために、サポートしてあげる仕事をしています。

そんなこんなで今回は、長芋畑の近況報告をいたします。

長芋の植え付け

当農場では5月10日前後に長芋の種を植えました。

⬇︎植え付けの様子

この機械の前方に作業者が2人乗り、手で長芋の種いもを等間隔に置いています。機械を使ってはいますがまだまだ手作業な部分が多く、体への負担もかかるのがこの長芋の植え付け作業です。

6月上旬の長芋畑の風景

ちょっと前の写真になりますが、今の長芋畑はこのような景色が広がっています。

長芋は地中深く1m以上も根を伸ばす作物ですが、地表面に出た芽は蔓(つる)となって上へ上へと伸びていきます。上下の空間どちらも活用するのが長芋の生態。
そこで長芋が元気に育つように、支柱とネットを立てて蔓が巻きつける場所を作ってあげる必要があります。支柱は2m〜2m50cmと身長以上の高さがあります。
これにより長芋は葉っぱを広げて効率よく光合成をすることができ、根っこが成長するためのエネルギーを得ることができるのです。


6月上旬のこの時期、成長の早いものはもう芽が地表面に出ています。

⬇︎ちょっと確認がしづらいけど長芋の芽

たくさん生えてる緑色の小さな物体は雑草。
この畑は訳あって雑草がとてつもなく生き生きとしています。

長芋の芽はここから蔓となり徐々に4ヶ月くらいかけて上に伸び、9月後半ごろにはこの上まで蔓が到着し、緑色のカーテンができあがります。その後蔓が枯れてくる10月後半〜11月くらいに収穫時期を迎えることになります。

⬇︎昨年の8月上旬の長芋畑。ここからさらに葉が広がります


雑草との格闘

さて、今年の長芋畑なのですが、先述した通りこの場所は雑草がたくさん発生してしまう畑なんです。

管理がうまくできないと雑草が伸びて畑に種を落としてしまったり、外的要因で雑草の種を持ち込んでしまったりすることがあります。

特に今年は適度に雨が降り気温もちょうど良く、植物にとっては最高の環境。これは作物にとってだけでなく、雑草にとってものびのびと育つ環境なんです。

⬇︎5/31に除草剤散布

除草剤が成長点(芽の先端)にかかってしまうと生育が遅れてしまったりするのですが、ここしかタイミングが無かったので心の中で謝りながら散布しました。

長く管理していきたい畑なので、除草剤による対処療法だけでなく土づくりによる雑草対策も勉強していきたいですね。


今後の長芋畑での作業

さて、今後の収穫までの長芋畑の作業としては、

・芽(蔓)の誘導
・追肥
・必要に応じた病害虫防除
・必要に応じた除草剤散布

というような管理作業を行います。

「芽(蔓)の誘導」というのは、大きく2つあります。

生育初期にマルチに引っかかっている芽を出してやるのと、ネットに自力で巻きつかないひねくれた蔓を誘導してあげる作業です。
マルチとは地面を被覆するためのシートのこと。前項目の写真で茶色や緑色のものです)

長芋が芽を出して地表面から上へ向かって延びる際に、まれに芽の先端がマルチに引っかかってしまうことがあります。そうなると熱で芽の先端が焼けてしまうので、それをうまくマルチの隙間から出してやる必要があります。

また「追肥」というのは、生育過程で生育を見て肥料を追加でふってやることです。
実は今年のこの畑で長芋を作るのは初めてで、実際どんな長芋が収穫できるのか、正直なところ収穫してみるまでよくわかりません。
土地の柔らかさや石が上がらないというのは理想な畑なのですが、やや肥料っ気が少ない畑なので、元肥を施す量を他の畑よりも多めにしました。さらに葉の色などの生育の様子を見ながら、タイミングを見て肥料を追加で与えてあげる必要があります。

本当はこの辺りの肥料の設計は、土壌分析データをもっと活用できると良いのですが…。現状、当農場では土壌分析データはあくまで傾向を掴むだけに利用していて、細かい数値までは活用しきれていないのが正直なところです。

おわりに

つらつらと長芋畑の近況をお話しました。

改めてまとめてみると、やっぱり長芋は人の手を加えることが多い作物なんだな、と実感します。それも作業工程が細かくて多いので、一つの作業だけ自動化できても費用対効果が悪かったり恩恵が少ないのがネックに思います。

長芋の種の準備から植え付けまでの様子も紹介したかったのですが、繁忙期につきリアルタイムな更新ができませんでした。
また別途まとめておきたいなと思っています!



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