【京大農学部の受験】森林科学科では何を学ぶ？就職先は？

こんにちは。双子のトコトコ（姉、京大卒）です。

今回は私が所属していた「京都大学 農学部 森林科学科」について書きたいと思います。

・京都大学の農学部ってどんな感じ？
・森林科学科では何を学ぶの？
・森林科学科の就職先は？
という素朴な疑問に答えます。

志望学部の決め方に悩んでいる方、農学部に興味がある方、森林科学科について知りたい方の参考になれば幸いです。

＊2015年～2021年ごろの情報のため、現在は異なっている可能性があります。ご了承ください。

なぜ農学部を志望したのか？

京都大学は東京大学と異なり、入学試験の時点で学部を決めないといけません。
高校生当時の私は、やりたいことが分かりませんでした。文理選択では「かっこいいから」という単純な理由で理系にしていたので、理系の中で選ぶことにしました。

学部の選び方は消去法です。医学部やイヤ、工学部もイヤ、という感じで絞り、唯一残った農学部にしました。
学問について何も知らない高校生が選ぶのって難しいですよね。。

幅広く色んな学問が学べそうな「総合人間学部」も考えましたが、何かしら専門性があった方がいいかなと思ったので、農学部にしました。

なぜ森林科学科を志望したのか？

さて、農学部は入試の時点で学科も決めなければいけません。京大の農学部には学科が6つあります。

・資源生物科学科（略称：資源）
・応用生物科学科（応生）
・地域環境工学科（地環）
・食料環境経済学科（食環）
・食品生物科学科（食品）
・森林科学科（森林）

受験では、学科の希望を第1志望～第6志望まで書けます。第1志望の学科のみを書くことも可能ですが、だいたいは受かる確率を上げるために第6志望まで書くと思います。
入試の点数の高い順から枠が埋まり、あとは点数順に振り分けられます。

農学部で一番人気が高いのは「食品生命科学科」です。
名のとおり食品について学べる学科で、それについて学べる国立大学は少ないので、倍率がとても高いです。（入った後の勉強も大変そうでした）

その次に人気があるのは「応用生命科学科」です。顕微鏡から生物を覗きたい人が入るイメージです。
農学や生物全般に興味がある人は、「資源生命科学科」が良いと思います。研究分野が幅広いイメージがあります。

私は森林科学科に興味がありました。
というのも、自分の好きを考えた時に、「自然」しかずっと好きなものはないなぁと思ったからです。加えて、高校の時に登山部に入っていて、顧問の山の解説が面白かったというのもあります。

そうして私は第一志望を森林科学科にし、受験の時は①森林科学科 ②地域環境工学科 ③資源生命科学科 ④応用生命科学科 ⑤食品生命科学科 ⑥食料環境経済学科で志望学科を提出しました。

森林科学科について

森林科学科は、農学部の中でもあまり人気のない学科です笑。第一志望で入った人はクラスの中でも数人しかいませんでした。
そのため、入学時点で勉強のモチベーションがそがれてる人が多い印象でした。森林に興味ないのにどうしよう〜みたいな。

最初のうちは転学科を考える人が多いですが、私の代では転学科をした人はいませんでした。
というのも、森林は、生態学や化学はもちろん、建築学（木造建築）、法学（林政）、保健衛生学（森林セラピー）、都市設計学（造園）など、すべての学問に関係しているといっても過言ではないからです。
森林の包容力、あっぱれです。みんな自分の興味×森林で研究分野を決めていました。

裏を返せば、「どの学科に入っていいか分からない」という方は、森林科学科を選択肢に入れてもいいかもしれないですね。

そして、森林科学科の隠れたメリットは「卒論を書かなくても卒業できる」ことです笑。単位さえ揃っていれば卒業できます。京大の理系で卒論を書かなくていいのは、経済学部と農学部森林科学科だけだと聞いたことがあります。

研究にどうしても興味が持てない〜という人にはとても魅力的な制度です。私がまさにそのタイプでした。私の代では数人が研究室配属せずに、卒論なしで卒業しています。

理由はさまざまで、森林より金融に興味が向いてしまった、山小屋バイトで街なかに下りてこない、等々。
食品や応生は、勉強も課外活動も頑張るキラキラ学生が多い印象ですが、森林は自由を愛する寡黙な学生が多いです。

森林科学科の授業内容

森林科学科の授業は多岐にわたりますが、大きく分けると「フィールド系」か「ラボ系」になります。3回生からは自分がどちらに進むのかを選びます。

「フィールド系」は外で遊ぶのが仕事です。フィールドワークが楽しめる人間にとってはまさに天国。登山しながら樹木の解説を聞いたり、地形の測量をしたりします。
授業内で吉田山や比叡山に登ったり、奈良公園でシカと戯れました。もはや詳しい（樹木）ガイド付きの遠足です。

さらに、お泊まり実習もあります。（任意参加）
私は北海道と和歌山に行きました。林業について学ぶ、樹木の特徴を覚える、土を掘り返す、標本を作る、などをします。林間学校気分で楽しんでいたら、地獄のデータ分析とレポート提出で苦しんだこともありました。

「ラボ系」は白衣で実験しているのを想像していただければと思います。樹木の細胞と向き合ったり、繊維質をケミカルにいじったり、化合物を作ったりします。私がラボ系ではなかったので、これくらいの知識しか持っておらずすみません。

京大では林業ができない！？

私がやりたかったのは、ひたすら自然の中で遊ぶこと。森林について学問を極めることではありませんでした。

京大の森林研究は「生態系」「材料系」の分野が強く、実務の林業をやっているのはフィールド科学研究所のみです。しかもここには院からしか行けません。
林業大学校に入り直すか悩みましたが、京大に籍を置いたまま林業をするようになりました。

木を切るきっかけになったのは、「山仕事サークル杉良太郎」という京大の林業サークルです。
https://sugiyoshitaro.amebaownd.com/

京都市北区の雲ケ畑という地域で林業ボランティアをしているサークルです。ちなみに「すぎよしたろう」と読みます。俳優さんの名前ではありません。
ここに入れば間伐や薪割りなど一通りの作業ができるようになります。杉良太郎では安全面からチェーンソーを使わないのですが、私は別の団体にも所属していたので、講習を受けてチェーンソーを使用していました。

京大のサークルですが、他大学の方や社会人も入れます。興味のある方は遊びに来てください。

森林科学科の就職先

私の体感ですが、「森林に直接かかわる職に就く人は学科60人のうち、15人いるかいないか」だと思います。具体的には農林水産省や林野庁などの国家公務員、県庁などの地方公務員、林業会社、製紙会社、建築会社などです。そのまま博士課程に進んだ人も何人かいます。

ほとんどは森林に関係ない会社に就職します。今はIT系とコンサルが人気です。林業サークルの同期がみんなプログラマーやエンジニアになると聞いて、びっくりした記憶があります。

森林系の仕事が限られている、日本は自分の専門と職業が結びつかないことが多い、森林関係は儲からないイメージがある、そもそも森林に興味がなかったなど色々な要因がありますね。
ラボ系の人は、業種限らず研究職で就職している人が多い印象です。

私は森林にまったく関係のない食品メーカーに入りました。志望企業を食品メーカーにしたのも消去法です。

就活では園芸会社も受けていましたが、「森林は仕事にせずに趣味の範囲でいいなぁ」と思っていました。
自分の活動として、森で木に穴をあけてメープルシロップを製造していたので、食品メーカーの面接ではそれにかこつけて話していました。

就活がイヤすぎて休学した話、しぶしぶ就活したけどうまくいかなかった話(京大卒ならうまくいくと思ってた)、会社に入っても続かなかった話は、長くなりそうなので別の記事にします。

森林科学科に入学してよかったこと

私は森林科学科に入ってよかったと思っています。
・木の名前を覚えられた
・いろんなところにハイキングに行けた
・課題が少ない＆簡単なので自分の活動に精を出せた
・自然の中でのサバイバル能力が身についた
・林業、農作業、造園などバイトの幅が広がった

「森」で片付けられてしまう木の密集が、名前が与えられただけで彩を放ちます。
あの木の実は食べられる！あれは漢方になる葉っぱ！など森が宝の宝庫に見えてきます。現代で忘れ去られた自然との共生を体感できる学科です。
自然が好きな方にはぜひおすすめしたいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
有益な情報を発信していきますので、今後とも双子をよろしくお願いいたします🐼
（この記事は執筆トコトコ、校正ノソノソでお送りしました）

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