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農業にスマホは欠かせない

(2022年9月30日)

 農業を始めて1年余り、つくづく「記録」の大切さを実感する。播種、植え付け、施肥、病害虫の発生状況、農薬散布、収穫…。売り上げと経費などの収支。母親が雑誌「家の光」別冊付録の家計簿に、作業日誌や収支を毎日つけていた。今でも、過去の家計簿を繰っては「去年は10月10日にソラマメの種をまいているから、そろそろ準備しないと」と助言をくれる。

少量多品種栽培、「記憶」は至難の業

 今年は、少量多品種の作物を栽培している。野菜の育成方法を学び、どんな野菜が売れるのかを試行している。となると、作業日誌をつけておかなければ、何が何だか分からなくなってしまう。特に、産直市へ出荷する際には「栽培記録」の提出が必須。播種、植え付けの日付、農薬散布の日付や希釈倍数、散布の回数などを記入する。多品種になると、覚えておくことは至難の業だ。

 特に残留農薬の問題をクリアするには、農薬の適正散布をしなければならない。殺虫剤、殺菌剤、除草剤などの農薬のパッケージには、適応作物、対象となる病害虫、散布方法・回数、希釈倍数、散布時期が書かれてある。この文字が小さい! 老眼鏡をかければ、何とか読めるが、小さな文字はストレスそのもの。何とかならないものかとネット検索をしていて、優れモノのスマホアプリを見つけた。


こんな優れもののアプリが無料で!

 農家が作った農家のためのアプリ「AGRIHUB(アグリハブ)」。栽培する野菜を登録し、作業日誌をつけていく。特に農薬散布の時に重宝している。持っている農薬を登録しておく。栽培中の野菜のページで、「農薬」ボタンを押すと、散布できる農薬の一覧が表示され、どのような病害虫に効くか、希釈倍数、散布から収穫までの期間が表示される。散布を記録しておくと、いつから収穫できるかも表示される。散布直後に収穫して、残留農薬が検出されるという事故も防ぐことができる。

 さらに、野菜の病変部分を写真撮影すると、どのような病気または害虫かを診断してくれる機能も。ほかにも、積算日照時間、積算温度、積算降水量が表示され、「生育調査」「出荷管理」「売上管理」も。まだ、全機能を使いこなせていないほど多機能だ。畑に行く時は、スマホは必携品。作業したときに入力する。こうしておくと、産直市に提出する栽培履歴も簡単に作成できる。作業日誌をアーカイブに入れておくことで、前年にいつ作業したかもわかる。これで、利用料無料とは。アプリの開発・提供者に感謝しかない。

収支管理もアプリで、青色申告も視野に

 今後、農業に本格的に取り組むようになれば、重要になってくるのは、収支管理。農薬や肥料に加え、マルチシートや、支柱など資材費、ガソリンや軽油などの燃料費、減価償却の対象となる施設費や機械代も登録したい。簡単かつカスタマイズできるアプリ「kaikei」を使ってみようとスマホにアプリを入れてみた。農業を主業にするようになれば、青色申告も必要になるだけに、今からその準備を、と。

法改正、「HACCPに沿った衛生管理」対応

 「食品衛生管理に関する法律」が改正され、食品を取り扱うすべての事業者に「HACCPに沿った衛生管理」が義務付けられ、2021年6月から完全義務化された。ネット販売やジャムなどの加工品の製造・販売時に、「届出」が必要となり、衛生管理し、記録を残さなければならない。昨年10月、必要となる食品衛生責任者の資格を取得し、届け出も済ませた。手始めに始めた野菜のネット販売。衛生管理の記録を紙で行うか、どうしようかと思っていた時に見つけたのがスマホアプリ「Hygiene Supprot」。記録項目も提供する食品に応じてカスタマイズできる。表示に従って入力するだけ。保存も出力もできる。登録料・利用料も無料でアプリを提供してくれているダスキンさんに感謝!

データ活用、目指せ「スマート農業」

 記録は、忘れないうちに、すぐにつける。その点、いつも持ち歩いているスマホは便利だ。倉庫で作業するときも、畑に行くときも必ず持参。野菜の生育状況をカメラで撮影して、このブログ用にも使用。メルカリショップで注文が入れば、すぐに知らせてくれる。将来的には、ハウスの温度管理や、潅水、鳥獣・盗難対策のカメラやセンサーとの連動など、スマホの活用の幅をさらに広げていきたい。入力した「記録」は「農業経営」を支える貴重なデータとなるだろう。

 アナログなイメージの農業だが、実はどんどん進化している。スマホをフルに活用して、スマート農業を目指していこう。

(あぐりげんき通信)


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