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魅惑とスリルのブータン、Laya Royal Highland Festival

ブータンはヒマラヤ山脈の南に位置し、世界最高峰の未踏峰ガンカルプンスム(7,570m)を有する山脈地帯である。
そんなブータンの、一年に一度行われる高地民族のためのお祭りハイランドフェスティバルの第6回目が10月23.24日に開催された。

これは行っておかなければ!と思い計画を立て(隊員仲間に立ててもらい)、JICAでトレッキングに際するしかるべき研修を受け、いざ出発に至った。
研修については、首都の標高が2,300m、行き先は3,800mとなるため、命にも関わる高山病の講習を受けた。
ガモウバッグという気圧を加えるバッグや衛生電話の使い方の講習を受ける。

これがガモウバッグ。中に入ることで応急処置として気圧を上げることができるが、高山病になったら山を降りるしかない


いざ出発!

首都は標高2300m。ラヤは3800m。
一日に1000m以上高度が上がる移動は禁止なので、まずは手前のガサ(2800mほど)で一泊をする。

途中の休憩場所からの景色
ガサ県へ入るところでもうお祭りののぼりが。

ガサへ到着したらまずはファームステイ先でお昼ご飯を。

ミルクティーとお米、ほうれん草炒め、豆のやつ、ケワダツィ(ジャガイモと唐辛子のチーズ煮)

ガサではガサゾン(行政+宗教施設を担うところで、各県に1つ以上ある)へ!6つの見張り台があるとかなんとか説明を受けました。

これがガサゾンだ!複雑な形をしていらっしゃる

そして私が絶対に行きたかったガサ温泉。前に洪水で流れてしまっていて、場所を変えて10月14日に再オープンしたばかりのピカピカキレイな状態(なはず)

ガサ温泉!
更衣室(手前が水シャワー、奥が着替えるところ)

男女に浴場が分かれているが丸見えなので、Tシャツ+短パン等で入るのが一般的。ただおばあちゃんたちは普通にほぼ上裸で入っていた。
この国授乳もところ構わずやるし、年を追うごとに恥じらい的なものはなくなっていくものなのね。

お湯はやや鉄の香りのする、お湯でした。気持ちよかった。

夜になるとライトアップ。

最後のお風呂をかみしめたら(頭は洗っていないが)、ファームステイ先に戻り夜ご飯をご馳走になる。
ブータン料理が基本だけど、どこへ行っても家庭料理はおいしい。嬉しい。

寝る部屋は男性2人、女性2人+3人で分かれて。トイレは外。みんなで外に行って顔を洗って、トイレも済ませて、寝る。夜起きないでいいように寝る直前にトイレに行くことが大切。

寝る部屋はこの立派な仏壇があるお部屋。
このお部屋に寝ていただくのが一番のおもてなしだって何かで習った。

2日目!

朝ごはんを食べて、大家さんにお礼を言って、ラヤへ向かうトレッキングのスタート地点へ移動。

このガサからラヤへの道は四駆の車で熟練のドライバーでないといけないよ、と、車を乗り換える。
インド産マヒンドラのボレロで駆ける崖っぷち。死を覚悟した。
怖すぎてどんな状況でも(立ってでも)寝られる私が寝られなかった。

ずっとこんな先の見えない崖っぷちを行く。普通にすれ違いもする。怖すぎる。

命からがらスタート地点へ。お馬さんに荷物は運んでもらう。
ここから5時間のトレッキングの開始です。

お祭りのため繁忙期で何往復もさせられるお馬さんたち。がんばれ!
川に沿ってひたすら上る!!!
ブータンどこにでもあるルンタ(風に吹かれると一回お経を唱えたことになる旗)とヒマラヤ山脈。
途中途中の景色が本当にキレイ
道の途中でくつろぐヤク

途中休憩をはさみながら、おやつを食べながら5時間40分ほどかけてラヤ村に到着。
ラヤの住民はヤクを飼っていてそのヤクのミルクや毛やお肉、それと冬虫夏草を採取することで生計を立てている。
冬虫夏草のおかげでとんでもなくお金持ちだそう。

これがラヤ!民家がひとつひとつおおきい!

この村に着いてからが大変だった笑。
昼ごはんを食べていないのでお腹がすいていて、でもファームステイのホストはお祭りに参加していて連絡が取れない!
仕方ないのでそのままお祭り会場(標高で200m上)に行こうとなって歩いている途中で上から続々人が下りてくる。
どうやらお祭りのプログラムは終わってしまったようだ…

なんとか村から30分以上かけて会場に上り、お昼ご飯を食べてとりあえず落ち着く。

高地民族はそれぞれ装いが違う。リンツィ(黄色い帽子)とラヤ(奥のとんがり帽)

ぐるーっと会場を回って、ファームステイのママと連絡が取れたようで宿へ移動。

荷物を置いて、フェスティバル夜の部へ参加。

夜の部@学校の広場

夜の部は、ブータンの有名歌手が来て歌を歌ってくれた。
ブータン国王と王子もいらして、大盛り上がりでした。

伝統のヒーター、「ブカリ」。薪を温めて部屋もあったかくなる。煙突みたいに外に煙が行く。猫もブカリの下であたたまる。やけどしないのか心配。

夜ごはんはこのブカリのお部屋で。ヤクのお肉も出てくる。やはりご飯はとても美味しい!

トイレはお外。
もちろんお風呂やシャワーはありません。
お湯はあるが、ここは標高3800m。寒すぎて外に出るのも億劫なので汗拭きシートで身体を拭くことしかできない。

繁忙期だからか、寝る部屋は学校の教室くらいあるのではないかと思われる大きな仏壇のお部屋(とてもおもてなし!)に雑魚寝。
15人くらいがそれぞれ部屋の角を陣取り、薄い敷布団と何枚かの毛布をいただき寝る。
さすがにまじか…と思うくらいにはひどい環境だったと思う。

3日目!ようやくおまつりに!

ファームステイからの景色。素晴らしい朝!

起きて、身支度をして、朝ごはんをいただいて、
また200mの標高を上ってお祭り会場へ!

このお祭りの特徴は、伝統的な踊りを披露するようなツェチュと違い、踊りや歌ももちろんあるが、合間合間に会場参加型の内容がとても多かったこと。

初日は
・馬のレース
・高地民族男性によるレスリング
・ストロングウーマンコンテスト(米俵を運ぶのを競うやつ)
などがあったらしい。
見れなかったのが残念。

2日目にあたるこの日の演目は
・ヤクの品評会(犬部門もある)
・二人三脚
・綱引き

など私もいくつか参加させてもらった。
その中でも私が爆笑したのがこの県代表対抗ピローファイト。

極寒の中、負けたら水に落ちるのも意味が解らないし、とにかく本当にこういうの素敵だと思う。

フェスティバル中お昼ご飯も配給式でいただけるし、私たち外国人は特に外国人用の別に用意されたお食事をいただけた。

高地民族のそれぞれの特産品(チーズ、衣装、布など)を売る物販もあったし、とても楽しいお祭りを満喫した。

最後は大きな輪になって国王も交えてみんなで踊りで終了。

どこにでもいるんだね、このお金あげたら動く人
ハイキング常連のアクティブ女子隊員5人!ありがとう!

最終日!

最終日は下るだけ!
のはずだが、まず約束の時間にお馬さんが来ない。

そこはなんとか宿の方にお願いして、人間だけでも下る。

しかし麓に着いてもお馬さんが来ない。
しばらく待機。その間に食堂でご飯をいただく。

その後ようやくお馬さんが来て荷物を車に積んだものの、今度はもう一台の車が来ない。

まあいろいろ試行錯誤ののちなんとか行きと同じ恐ろしい道を通ってガサに戻ってきた。

と思ったら、車の後輪からプシュ―――――と音が。
トラブルだらけの帰り道。

タイヤ交換しているところ…

まあそんなこんなハプニングがいろいろありましたが、夜に自宅に帰れました。

4日間お風呂が入れなかったので、もうわくわくどきどきしながら帰宅してみたら今度は自宅のシャワーの水が出ませんでした。
仕方なくキッチンで頭を洗って、身体はキッチンからお湯をバケツで運んでそれで洗った。
まあそこは断水を経験した女なので慣れっこですがね。

総合的な感想。


旅行客としてラヤにいくのはリスクが高すぎる(高地順応に数週間必要なことを考えるとおすすめしない)ので、こうして長期間滞在している者しか行けない場所に行けたことが素晴らしい経験だったなと思う。
実際に高山病になってヘリで運ばれている人もいたので、今回無事に帰って来られて本当に良かったな、と。

前述したが、伝統的なブータンのツェチュという寺院で行われるお祭りと違って、運動会と文化祭が合わさったような、みんなが参加できるし、見ているだけでも楽しいというお祭りで、今まで行ったお祭りの中で一番楽しめた。

とにかく寒さと、4日間あたたかいシャワーを浴びれないという環境と、雑魚寝という三重苦はあったけど、それを加味しても本当に楽しい4日間でした。

行く方は、是非事前準備をしっかりして、体調万全に整えた上で行ってください。
緊急時にヘリが必要な時点で自己責任では済まされない旅なので…

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