映画「すばらしき世界」を観終わって
【※ネタバレ含みます。観賞後にお読みください】
今回もあらすじや予告編など事前情報を一切入れずに、
いきなり本編を観賞。
選んだ理由は、監督が西川美和の一択。
西川監督の「ゆれる」は、レンタルビオで3度は借りた。
登場人物の見え方が、予想を上回って変えられてしまうのが
西川作品の魅力だと思う。
ラストシーンのクレーンショット
遺体で発見された三上のアパートから出てくる仲野太賀を見下ろしながら、カメラがクレーンアップ。
アパートの屋根を越え、
太陽の光がフレアを伴いつつ差し込み、
あったかいとまで感じてしまう。
そしてまだ明け方の、黎明の空が全景になったところで
「すばらしき世界」
の字幕。
一瞬、三上が無声になり、その気持ちがテロップで語られたと錯覚した。
……そうだ、これ、タイトルだった。
遅れて気がついた。
浄土宗の言葉だったかと思うが、
「最期の一念によって善悪の生を引く」
というのがあるのを思い出した。
死に際に抱いた感情が、死後の世界というか、来世にどのような人格として生まれてくるかに関わってくるという言葉だったと思う。
昭和も平成も、強い者勝ちの世界を相手に、
果敢に立ち向かっていく、
ギスギスした映画が、大舞台で称賛されていたように思う。
この作品は、社会的弱者にどう寄り添うべきか、
がテーマになっているようだった。
この世界が“すばらしき”と感じるかどうかは、
社会の資金的・制度的援助だけでなく、
結局は、弱い立場にある人と、周囲にいる人の
「一念」次第なのかもしれない。
この世の中は、想い次第で見え方が変わり、
行動も自然と変わってくるような気がした。
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