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恵奈津の言葉〜佐原ひかり『ペーパー・リリイ』からQUEEN50周年展への意外な飛躍

説明動画が嫌いだ。
トレイラー、ドラマや映画、ライブの配信など、それ自体が作品となっている動画のことではない。
従来なら文字で書かれていたような説明ごとを、あえて動画でやっているので見てください、というのがとても苦手なのだ。
もちろん、文字だけでは説明できない手順を視覚的に公開できる、というメリットはあるわけで、すべてを否定するものではないが、苦手意識が先だって興味のあることでもついパスしてしまう。

これがなぜなのか、佐原ひかり『ペーパー・リリイ』の印象的な登場人物・恵奈津さんが鮮やかに説明してくれていた。

「金に良いも悪いもない。金は金だ。でもね、私は、私をコントロールしようとする金は大嫌いなんだよ。」

「金」を「時間」に置き換えたら、しっくりきた。
文字を読むのは、速くも遅くも自分のペースでできる。
動画は、その時間分「つきあわされる」のがイヤなのだ。
倍速視聴についてもいろいろ言われているが、要するにそういうことで、私は私の時間を支配されたくない、ということなのだな。

フレディ・マーキュリーの王冠
動画を除く展示品の撮影は許可されていた

話は飛ぶが、名古屋でも開催されていた「QUEEN 50周年展」は素晴らしかった。
私のQUEENファン歴は長く、お小遣いを貯めて初めて買ったLPは "QUEEN II" だったし、「オペラ座の夜」ともども、当時のLPが今も手元にある。
幼少の頃から家で流れていた洋楽の中でもQUEENは格別の存在だったので、21世紀になってQ+ALのライブに行けたのは…来日公演直後のコロナ禍による欧州公演延期もあり、奇跡としか思えない。

50周年展であらためてQUEENの軌跡を辿って、AIDS発症を自覚してからも創作に打ち込み、最期まで歌い続けたフレディと、彼を支えリスペクトし、今なお活動している仲間たちに震えた。
彼らに倣って、自分の時を大切に生きてゆきたい。
自分自身の王になろう。
恵奈津さんが言っているのも、きっとそういうことなのだ。

モントルーのフレディ像






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