科学と技術と研究所

科学哲学の本を読んだ。
この分野の本ははじめて。

科学の歴史が科学哲学の視点である程度体系的に説明されていく。

一番ほうほうと思った点は、科学技術についての部分。日頃から研究所で感じていることとリンクした。
もともと科学と技術は別の概念で、日本に明治に科学が入ってくる時に、人まとまりの概念として入ってきた。
英語にそういう単語もなかった。

科学者という職業が昔からあったわけではない。だいたい牧師さんとかの活動だった。科学が発展し、それが産業や災害に対して有益で、それを職業とするscientistという言葉が生まれ、社会的地位を得た。

科学を技術として戦争のために使う、その流れを踏襲して科学を平和利用して国の発展のために使おう、としたのが現在も普通になっている国が研究を支援するという構図。
今働いている研究所も、そう。国の発展のために作られて、今もその役目が終わっていないから、国のお金で給料もらって研究できてる。

学術論文になるような、きちんとした科学をやるべきだ、という人と、役に立つ技術を開発すべきだ、という人がいる。
工学と理学の違いみたいな。

この辺の哲学の背景を理解した上で、所内では上手く使い分けると、予算取るときと、外に発表する時と、うまくいきそうな気がする。

どちらの立場を取るかといえば、研究所の存在目的を考えると、基本的には役に立つ技術を開発することが一番の目的、工学的な立場。
その時に使う基礎技術が、科学的に新しさをもっているという階層構造になっていることが理想。

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