定員117名、街の小さな映画館
今日、遅い時間にメトロ劇場支配人の佳代さんが来てくれた。
今日は先日アジアの映画として初めてアカデミー賞作品賞を受賞した話題沸騰の映画「パラサイト」のメトロ劇場での上映初日。
前日横浜から着いたばかりで「一杯だけ飲ませて」と立ち寄ってくれた時「明日ガラガラだったらどうしよう」と言っていた佳代さん。
「ガラガラなんてあり得ない!千客万来ですよ」
と僕が言うと
「そうかなぁ」と不安げに帰っていった。
さて初日はどうだっただろう。
顔を見るなり僕が聞く。
「どうでした?」
「満席‼️3回転‼️」
と満面の笑みの佳代さん。
「良かったですねー」
お昼から長蛇の列だった今日の初回…前日に行程表を作りどの時間に誰をどこに配置するかも考えていたのだが想定外のトラブルもありその場で急遽仕切り直したりもしたのだそうだ。
お客さんの中にはお昼、1回目の上映で入りきれず時間を潰している間に2回目の上映のお客さんが並んでしまい結局3回目最後の上映で見られたお客さんもいたという。
つまり昼の1時に来て映画見終えて帰ったのが夜12時すぎ‼️
もう今日1日で1階から4階まで何往復したか、「申し訳ありません」と何十回頭下げたかわからないと佳代さんは言う。
ただ見終えて出てくるお客さんの満足気な顔を見られたのが救いだったとも…
僕たちはもう何ヶ月も前から「パラサイト」は凄いと佳代さんから聞いていた。
この公開時期もきっと何かの賞は取るであろうとアカデミー賞発表後に照準を合わせての事だという。
流石❗️
映画館の娘として幼い頃から英才教育(『ニューシネマパラダイス』とトトのような生活、英才教育の話はめっちゃ面白い)を受けてきた佳代さんのご慧眼には恐れ入る。
佳代さんのお父様…前支配人が急逝されたのは4年前。
前支配人が御存命の頃は映画館の人と一映画ファンの関係だった僕たち夫婦。
佳代さん、輝尚さんに代替わりしてから徐々にお話するようになり僕たちが飲み屋をやっていることも知ることとなる。
ここ数年は監督が舞台挨拶に来たりすると店を利用してくれるようになった。
特に佳代さんは来福されるとお一人様でも来てくれるようになる。
4年前のお父様の突然の死から急遽、お姉さんの佳代さんが支配人を、弟さんの輝尚さんが館長を引き継ぎこの小さな名画座を守ってこられた。
佳代さんは新聞社勤務。輝尚さんは証券会社勤務とそれぞれ忙しい仕事を持ちながらお父様の「福井の文化の火を消すな」との志を継ぐべく東京と福井を行き来している。
映画館を継続していくのはギリギリ…スタッフの給金を払ったら何も残らない中お母様、姉弟は無給で…いやそれどころか年休も使い切り収入下げてまで頑張っておられると聞いた。
そういう事情を知っているからこそこの「パラサイト」の成功が嬉しい。
これで少しは儲けてください!
メトロ劇場という福井が全国に誇る素晴らしい映画館存続のためにも❗️
話題沸騰の映画『パラサイト』は
13:00 13:30 21:50
1日3回の上映です。
皆様お見逃しなく!