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断酒をしたら、料理が上手くなった?

もともと料理は子どもの頃から好きだったが、きっかけはやはりレストランのキッチンでの仕事だった。前菜とデザートを担当して、一度に3〜4ℓのカスタードクリームを作ったり、大型犬がお風呂にできそうな大きさの鍋でラタトゥユを仕込んだりして、熱さと暑さと重さに格闘しながら、でも毎日とても楽しかった。いちごの季節に毎日何パックもスライスをして、手が真っ赤に染まり、甘い香りの取れない手を嗅ぎながらうちに帰ったのも、思い出だ。

ワインを仕事にしてからは、有名シェフの料理をいただく機会がたくさんあった。自身の料理熱はさらに上がり、雑誌を漁ったり、和食やイタリアンの大全集を図書館で借りて、食材は成城石井や紀伊國屋まで求めに行った。当時はまだインターネットも発達していなくて、情報を得るには歩くしかなかった。

今ではネットショッピングでフォアグラやらエスカルゴでも買える時代。友人を呼んでのホームパーティーなどは今の夫と結婚してからは回数が増えていた。

しかし料理中からお酒を飲むようになると、最近は最後の仕上げのところがなんとも緩くなり、「え」ということが多々あった。(夫はあまり口に出しては言わなかったが)
友人を呼ぶ時には流石に注意して料理中には飲まなかったが、食事中はそれを味わうより酔っていた。

それが断酒をして、一つ一つの物事を丁寧にやる集中力が戻ってきたことで、料理が楽しくて仕方がない。ご飯の水加減を注意してル・クルーゼで炊き、出汁をとった味噌汁を作り、煮物や炒め物の塩加減を確かめて。ランチ用にさっと作った塩むすびも、我ながら大変美味しい。

ただし夕飯は作ってもお酒と合わせられない、という切なさは付きまとう。

それでも、温かいご飯を口にすると、「あーきちんと作ってよかった」と思うのだ。

続く


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