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DIC川村記念美術館へ行ってきた。「坂本龍一 Last Days」を見る。

友人と遠足。DIC川村記念美術館へ行ってきた。なんと30年ぶりだ。
広い敷地に芝生や森が広がる中、美術館の建物がある。日本では珍しく、現代美術に特化した企業の美術館だ。
写真が撮れなかったのが残念だったが、いいコレクションと、いいキュレーション。企画展は「カール・アンドレ 彫刻と詩、その間」。

彫刻の展示は、ものによってはその上を歩くことができるもので、なかなか面白かった。もっと面白かったのは、詩。若干気が触れた感がある作品。言葉をなしていなかったりするので、詳細はわからないが、タイプライターや印刷を使った「作品感」が、非常に共感を持てた。比べるのは烏滸がましいが、私も学生時代生協のコピー機に和紙やら布やらを突っ込んで、色々な印刷をしたものだ。コピー機が詰まって毎回怒られたっけ。パソコンもプリンターも無い時代のお話。

コレクションの常設展の中に、「ロスコルーム」があって、これはロンドンのTate Modernにもあるのだが、非常によい。部屋の全てがロスコで構成されている。静謐な空間が絵であり、お湯のようでもあり、門である感じ。南禅寺のような雰囲気を醸し出す。写真が禁止されていたのが残念だが、空いていたし、ゆっくり味わえた。写真はロンドンのロスコルーム。

家に帰ってきて、夫が夜出かける日だったので夕飯は作らず。適当に済ませつつ、随分前に撮ってあったNHKの「坂本龍一 Last Days」を見た。

ずっと一線で輝き続けているのを見てきた世代なので、興味があったのだ。しかしなかなか強烈だった。こんなに曝け出していいのかというぐらいの個人的な死の記録。
ただ、一見しただけでそこまでわからないのだが、印象としては「それでよかったのでは?」と思った。自分が死ぬなんて初めての経験だし、混乱するし、戸惑うし、決められないし、怖いし。迷いつつ、なんとかやりきった、という記録を見せていただいた、と思った。あれ以上上手く死の準備をする人も、そんなにはいないのだろう。才能とモチベーションと諦めと恐怖と、いろんなものに振り回されつつ、最後には折り合いをつけたように見えた。

私はいざという時、どんなふうに折り合いをつけて最後の日を迎えるんだろうか。20代から、病気のたびに長い間希死願望と付き合ってきたが、ここ10年、生まれ変わったように幸せに生きている。果たしてどうなることやら。

さて。来週は天気が悪いらしい。今日の晴天は貴重かも。ウォーキングに行こうかな。

続く






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