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新型コロナウイルスと宝塚公演の再開に思うこと

3月9日から宝塚歌劇の公演が再開されるとのこと。自粛ムードの中で思い切った決断だと思う。

個人的には、劇団の判断は正しいと感じている。何故ならば、今一番求められることは、冷静にリスクを見極めることだと思うから。微かなリスクも全て回避していたら病気より先に経済的な部分で多くの人が殺されてしまう。

新型コロナウイルスの感染拡大において、現状確認されているリスクの高い場所や行為は、

1、密閉された場所で言葉を交わすなどの接触をすること。

2、スポーツクラブでの感染例から、唾液や鼻水、涙、血液などの体液だけでなく、汗の接触にもリスクあり?それともお風呂か?


反面、意外にもリスクが低いと考えられる状況は、

1、身近な接触があっても言葉を交わさない満員電車など(感染は報告されていない)

2、子供の発症は少ない。(ただし、感染を媒介する可能性はある)

どちらも1を見て欲しい。感染は飛沫感染と接触感染によるものと思われ、空気感染する可能性はほぼない。だから、感染者の隣に座って服が触れ合ったり、すれ違いざまに軽い挨拶を交わした程度では移らないと考えるのが妥当だ。

同じ多人数が集まるイベントであっても、客席が皆立ち上がって踊り、大声で歌い声援が飛び交うライブと、客席皆がマスクをし、黙って拍手する宝塚などの芝居を観る行為では、感染リスクに多きな差がある。

ライブハウスでは声を出すことによる飛沫感染だけでなく、体を接して踊れば汗も触れ合うかもしれないが、映画や芝居、クラシックのコンサートを観る観客は(今の季節)普通汗もかかなければ、周囲に直接触れることはなく、唾を撒き散らすような声も出さない。

もちろんどんな状況であれ、感染リスクはゼロではない。人が多ければ多いほど感染リスクは上がるだろう。

だが今回宝塚歌劇団が今回示したように、入り口にはサーモセンサーを置き、熱のある人の入場は断る。

客にはマスクの着用を求め、消毒液などの設置と感染防止の自助努力を求める。

人が長時間にわたり密集するのを防ぐため当日券の販売はしないなど、少ないリスクも潰そうとする対策を講じれば、感染リスクは極わずかなものとなる。

(劇団の決断には、統制が取れていると評判の宝塚の客に対する信用や自信のようなものも影響しているのかも知れない。現に宝塚ファンからは、絶対に感染者を出さない!との力強い決意を感じるツイートなどが多数発信されている)

美術館や博物館も、時間予約制にして入場制限すれば閉館する必要はないし、休校で暇になった子供の図書館利用や公園での遊びなどは、家族に風邪症状の者がいる人は外出しない。手洗いうがいをしっかりするなどを守らせた上で認めるべきだと私は考える。

とにかく政府(あるいは公的機関)はウイルスがどんな環境下でどの程度活性を維持するのかなど、疫学的な調査をして、早急に結果を公表すべきだ。

ウイルスが宿主を離れてから、どのような条件下で、どの程度活性を維持するのかを知ることが、対策を講じるにあたりとても重要だ。

服の繊維、プラスティック、金属、ガラス、木、ビニールなど素材でリスクは変わるのか。

唾液や鼻水、涙や汗、などが温度、湿度、風呂などの様々な条件下でどうリスクが変化し、何に気をつければ良いのか。

例えば、クラスターの発生場所となったスポーツジムでの感染拡大の原因を考えた時、汗などの体液中のウイルスは活性が持続するとわかれば、一人使うごとに器具をアルコール消毒すれば良いし、お風呂のお湯の中ではウイルスが数時間生き延びるとわかれば、当面の間お風呂は中止しシャワーだけにするなど、個々に応じた対策を講じることが出来る。

ミュージシャンのコンサートやスポーツ観戦でも、客席はマスク着用、立ち上がらず、声を出さないといったことを守れば感染リスクは大幅に減らせるはずだ。(但しフアンがこれを守れるかは別の問題)

空気感染であれば、多くの人数が一箇所に集まることは、集団の特性にかかわらず多大なリスクになる。だが今回の新型コロナウイルスに関して言えば、多くの人が集まる場所でもリスクを大きく軽減することが可能だ。

大人数が集まるイベントは、集団の特性が何であれ一律に自粛!ではなく、リスクを冷静に見極めた上で、最大の対策を講じてある程度の安全を確保した上で実施して行く。エンタメが死んでしまう前に、そんな流れが早く浸透して欲しいと心から願う。


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