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2021春 波は静か。温い風。花盛り。堂ヶ島。

今泊まってるところの裏は急な山なのだが、登っていくと崖になる。登りたくなるよね? たとえ雨雲が近づいているかもしれなくても。思いついたら、登るよね?


ということで行ってきました。
生暖かい風。
蚊。
鼻水。
そして飲料水を忘れた。

しかしまあ、上の遊歩道に出るだけなのだが。
ここは海辺の集落。
津波が来たら、一応この西伊豆の宿泊施設にも避難場所はあるのだが、それじゃダメなら崖を登るしかない。遊歩道は一度海岸に出ないといけないからね。危ないんだ。

地震が差し迫っているんじゃないか?
と考えてもさほど危機感は無いけど。ただただ「何か危険なものが近付いている」と思うことが多く、この袋小路の地域にヤバいやつが来たら、自分だけなら簡単に助かることはできるだろうけど、隣の棟に泊まってる子供のことを考えたら、崖を登ってでも逃れなくちゃと思う。そのヤバいやつと一対一のとき、子供から目を離してしまうから、できれば逃げたい。

だから、登る。そしてここによく来るところだから、一度登っておきたかった。登り始めてから、「津波が来るときはここを駆け上がらないとな。実際はこのスピードじゃダメだ」と思ったよ。

危機は迫っていない。既にそこにある。


崖を登る足が早まる。足だけじゃ登れないから腕も。指先の感覚も。目で見る判断も。「この枝は腐っている。この堆積岩は劣化して浮き上がっている。ここは横に移動しよう」

ふと背後を見る。


ああ、これは一人だけ生き残った図だな。津波を想定してね。


次はナタを持ってこよう。掴んでは危ない腐った木ばかりだった。落としておかないとその気を掴んだ人は崖の下に落ちてゆく。

仕事が増えたな。

遊歩道に出る。身の回りの誰かくらいは助けたいと思う。自身の意識と、その人の登る技術。

遊歩道を歩きながら再び海を見る。
もしも津波にのまれて命を落としたなら、「あいつはどうしてあんな海岸近くの施設にいたんだ?」と思われるかも知らないなぁ。

でもこの海を見てよ。
と思う。


南風を山の峰で浴びながら、そろそろ海に入れる時期だなと思った。海は苦手だけど(笑)
でも泳ぐと青い魚や大きなクロダイや、手の届かない深みに更にデカいのがいる。

機会があれば、溺れない完全武装で入ろう。

今、西伊豆の堂ヶ島の山は花盛りです。


おわり。

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