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僕は暗い写真が好き
こんにちは不二です。
写真を見てくださる方が増えてきたので、ここらで自己紹介的なものをしておこうと思い筆を取りました。
どういう写真を、なにを考えながら撮っているのか、ちょっとだけ書きます。
写真的なバックグラウンド
10代の頃は小説ばかり読んでいました。
最初は王道のダブル村上を読み、のちに海外の作家へと傾倒。セリーヌやブコウスキーなど、荒々しくてどこか繊細な作家たちが好きです。
一方写真集はほとんど見たことがなく、ソールライターの『WOMEN』という私的なポートレート集を一冊だけ所有しています。ライターは好きだけど影響を受けたというほどではないかも。小浪次郎は好きです。
こんな感じなのに写真を撮っているのは、「速さ」が理由だと思います。見て何かを感じたらシャッターを切るだけだし、鑑賞にもたいした時間はかからない。本を読まずに小説を書く人は少ないけど、僕のように写真を見ずカメラをやる人が多いのは、そのせいかもと思います。
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よく渋谷を撮る
ふだん見てくださる方はお気づきと思いますが、渋谷を撮ることが多いです。理由は家から近いのと、自分にとって象徴的な場所を撮りたいから。
とくに鮮烈な思い出があるとかではないけど、渋谷はずっと僕の通り道でした。なにをするにも渋谷だった。服を買うのも、友達と遊ぶのも、家に帰りたくなくてふらふらするのも。
だからといって渋谷は、「地元」にはならなかった。なんかいつもそこにあり、僕もしかたなくそこに行ってしまう。渋谷からどこかに出ていってまたそこに帰るというより、宇宙のゴミのように渋谷のまわりを回っている。
そのどこにも行けない漂流の記憶みたいなものが、僕の写真を形作っているのかもしれません。
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ポートレート
「ポートレート」とはなんなのか、正直よくわからずに撮らせてもらっています。
ただ最近気づいたのは、「型」みたいなのは気にしないほうがうまくいくということ。モデルの顔がぶれてても暗くてもいいし、無表情や変顔でも作品になる。「その場の空気感を写す」とかはあまりピンとこず、「レタッチして組むときになるべく面白いと思える写真が増えるよう、撮るときにいろいろ試す」というのが現段階での僕のやり方です。
撮る前のイメージもあまりなく、あとでいろんなイメージが湧くよう撮るときは自由でいたい感じ。だから表情やポーズに動きがあって、その人独自の雰囲気があり、かつ一緒にいて楽なモデルさんが合うかも。
もし作品を見て一緒に撮りたい方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡いただけますと幸いです。
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暗い写真が好き
僕は写真の上手い下手より、イメージを大事にするほうだと思います。「上手い」と言われるのも嬉しいけど、「考えさせられる」とか「なんか好き」とか言われると、その人の個人的な側面に触れられたようでさらに嬉しいのです。
ところでイメージはたぶん、部分の強調によってつくられる。ほかのぜんぶがどうでもよくなるくらい鮮烈な一部によって、より大きなものへの想像や憧憬が引き起こされる気がします。
だから僕は現像の段階で露光量を下げ、ハイライトを上げる方法をよく使う。全体的には暗く落ち着いた印象でも安心はさせない、そんな写真になっていたら嬉しいです。
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おわりに
写真を通して表現したいものにまだ確固たる名前はないけど、あえて近いものを挙げるなら、それは「孤独」だろうなと思います。
寂しいとか人肌が恋しいとか、心の水面に浮上してすべてを満たしてしまうような感情ではありません。むしろ奥深くに眠っていて、たまにプールの底に足がつくようにふっと思い知るもの。
「人は一人で生まれ一人で死ぬ」と言うけれど、生きている間に実感することは、あまりない。でも何かを美しいと思うとき、僕はなぜかそのことを感じるんですよね。
なるべくそれを他人と共有できる時間が、写真を撮ることで増えるといいなと思います。
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『WOMEN』はこちら
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