〇音無家・蓮の部屋(夜) ベッド上、スマホを触りながら 蓮「なぁ、最低だぞ! 人の待ち受け勝手に変えるとか」 ベッド下、柵にもたれながら ユカ「何でよ。別にいいじゃん。待ち受けぐらい」 蓮「嫌だ。もうー初期設定のやつ、どーすんだよ」 ユカ「そうだ。戻すのどうやんだろうね、リセットとかすんのかな?」 蓮「だったら許さねぇぞ」 ユカ「どーすんの?」 蓮「さーな」 ユカ「とりあえず三日、試してみてよ。今、話題なんだから」 〇道(三日後・夕) 自転車を押しつ
あらすじ 不眠症に悩む音無蓮 夢を見る事が唯一の趣味だった彼はそれができない現状に 鬱々とした日々を過ごしていた。 彼の思いとは裏腹に謎のアレルギーによる咳は止まることを知らず 飴を舐めた時だけ息を潜めた。 …面白い夢が見たい…そんな微かな思いも泡と消え 今夜も咳が止まった僅かな隙に眠りにつく… そう思った、そのはずだった…が、 眠りにつく1m手前、彼の中に浮かび上がる新たな“遊び” それは印象に残った夢だけを書き記す夢日記 ストレスフリーな上、今の自分にとって可能であり
〇道(夕) 学校からの帰り道、自転車を止め スマホとにらめっこする蓮。白紙の画面 カーソルは点滅したまま 蓮「面白い夢が見たい、書きたい ただ、それだけなのに、どうして、それが こんなにも……こんなにも……理想が高すぎるのか そうなのか、もう二月も終わりだぞ! これじゃあ、こんなじゃ」 粒良ユカ(18)、蓮の両頬に両人差し指を押し当て ユカ「こんなじゃ、なに?」 蓮、少しバランスを崩すが平然と歩く スマホを覗き込み ユカ「あっ、また日