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ファービー

 実はコレクションしていた。

 この喋るおもちゃは柄や目の色などが違い、その組み合わせで無数の種類がある。またクリスマス限定のクリスマスファービーだとか、2000年に出たミレニアムファービーだとかいった期間限定品などもあり、そういうものはすかさず購入していた。

 付属のグッズもある。ファービーを運ぶためのカバンだとか、ファービーを眠らせるための入れ物だとか(案外にうるさいがスイッチがないので、黙らせられると便利である)。ファービーをコントロールできるリモコンなんてのも海外で購入した。

 2体以上持っていると、ファービーどうしでおしゃべりを始める。きらきら星を歌い、そろって踊るのがかわいい。


 そもそも最初に買おうと思ったのは、人工知能のようなものかと思ったからである。私はかなり昔から、AIマニアなのだ。ただファービーは音のセンサーがあるだけで、言葉を認識することまではできないのだが。

 それでも最初はファービー語しか喋れないのが、かわいがっているうちに徐々に日本語を喋るようになる。まあ、ファービーが日本語を覚える前にこっちがファービー語を覚えてしまったが。


 やがて一斉を風靡したファービーも下火になる。だがファービー2だとかファービーベイビーなんてのも出て、そういうのも1体ずつは買うようにしていた。


 そんな私も、ファービー熱が冷める。倉庫の奥深くに未開封のファービーが揃うことになる。


 そこから年月が過ぎた。私に子どもができた。すると、ファービーは再び日の目を見ることになった。こんな古いおもちゃでも、子どもには未知だ。思いのほか喜んでくれたのである。
 娘がファービーカバンにファービーを入れて歩く姿が、あまりにかわいく愛おしく思えてしまった。


 さて、結婚をすると妻にコレクションについての理解を得るというのは無理、というのは世の理である。処分するべく圧力をかけられる。
 貴重なコレクションがいくらになるのかと思って中古品店に売りにいくと、なんと元の値段以上になったものがあった。
 ほうと感心してまた持っていくと、今度は二束三文であった。

 これがどちらも適正価格をつけてもらった結果なのか、一方を値打ちがわからぬ人に値段をつけられてしまったのかは謎である。

 なんとなく気になってしまうわけだが、私はあらゆる形でファービーというものをたっぷり楽しむことができたし、じゅうぶん元はとったかな。


#私のコレクション


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