最高のフレーズである。ただ毎度文字数制限はうまくいかない。ここから私とChatGPTの、文字数を10文字に近づける格闘が始まる。
「影一つ増えた」「顔のない母親」、最高である。ただ、短い。いつも俳句や短歌だと長すぎるのだが…
ここで途中まで表示され、「暴力的かもしれないが、続けるか?」という旨の表示が出た。ホラーだから歓迎なのだが、操作を間違え、やり直しさせることになってしまった。
こちらのコーチング力を試されているような気がする。人間相手に何かを教えるときは、私なら「模範を示す」「行動の浮動を大きくするような質問・指示を出す」とする。模範は内容に大きく影響すると嫌なので、後者で。
よしきた、うまくいった! 「頭部切断後、まばたき」なんてのはかなりいいのだが、陳腐ではある。
かなりいいものができた。振り返ってみよう。
まずChatGPT先生に頼むと、顔のないナントカはかなりお気に入りのようである。「顔のない子」「顔のない隣人」よりは「顔のない母」のほうが好きだ。ホラーじゃなくて、シャドウワークをする主婦というような意味にも取れそうだ。
「手首切った生きてる」は奇跡の一作だ。「手首切った、生きてる」なら10文字である。リストカットと思ったというのは上に述べたが、多様な解釈ができ、「生きてる」が驚いているようにも感動しているようにも取れ、よい。
笑ったものもある。「足跡後ろに」なんか怖そうだが、あたりまえだ。
スプラッターなものをわざとはずしてほしくなくて「血」をテーマにしたが「血塗られた扉開く」は普通。「血の海浮かぶ月」くらいで秀作。「血液採取失敗怪」は医療者にも患者さんにも怪であるし、「赤い血の時計鳴る」までになると想像力を喚起してくれる。
大賞は「影一つ増えた」かな。これを人間が怖いものと判定するアルゴリズムに脱帽する。こうなると少し考えたくらいではAIを超えることは難しそうである。
さて今回は、『10文字ホラー大賞』というものがあったので10文字に限ってみたのだが、なかなか10文字にならなかった。だが、その失敗の過程で、よいものがたくさん生まれた。
文字数へのこだわりは、金の卵であったということだ。よく実験や発明でも、失敗で生まれる優れたものがあるから、 AIがまだまだ失敗しうるということはとても良いことかもしれない。
完璧なモノは「ちとつまらないしね。」
(最後にちょっと競ってみたくなってしまった)