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#推し短歌 スタートレック

宇宙とは人類最後のフロンティア ダイバーシティも星の数ほど

 スタートレック推しである。
 スタートレックはたしかに宇宙冒険活劇なんだけれども、最大の魅力ってアクションとか戦闘シーンにあるのではなくて、異文化交流ってところにあると思う。それは冒険中に出会う異文明との交流もそうだし、USSエンタープライズ号という巨大な宇宙艦内の生活についてもいえる。たとえば論理重視のスポックと情で動くドクターマッコイとのケンカはお約束の楽しみになっている。


文明に不干渉とは言いながら美女に手を出し美女に手を焼く

 ファーストシリーズのジム・カークといえば、甘いマスクが売りの名物艦長だ。行く星々で美女の異星人と関わり、厄介な罠にはまる。
 そもそもUSSエンタープライズ号は未知の文明の調査飛行をしており、まだ星間移動できない惑星の文明については「一切干渉してはならない」という惑星連邦の厳しいルールがある。それにも関わらずカークは星々で主に女性とトラブルを起こす。カーク艦長が事あるごとにこのルールを口にするのは、自分が守れないからだろう。
(そもそも船でいちばん偉い人が毎回調査チームとして星に降りるのって、いかんのでは)
 艦長が引き起こすややB級な騒動こそが、スタートレックらしさであり、愛すべきところだ。


メイド役? いいえ通信士官です キング牧師もウーラにビックリ

 黒人女性といえばテレビではメイド役でしか登場しなかった時代に、ウーラ中尉を操縦デッキの紅一点として配置していた。当時としては英断であっただろう。しかもウーラはちょい役ではなく、結構活躍する(とくに歌を歌うシーンがちょいちょいあっていい)。
 かのキング牧師も、白人中心に描かれるテレビを子供たちに観せぬようにしていたのに、スタートレックだけは逆に観るように勧めていたと言われている(キング牧師がスタートレックを観ている絵がちょっと浮かばないんだが)。
 人種差別をめぐっては、艦内に突然現れたエイブラハム・リンカーンが(相変わらずめちゃくちゃだな)、中尉に向かって悪意なく「かわいい黒人娘だ」と言い、艦長がすかさず「大統領。この時代には人種差別はもうないのです」なんて言うシーンもあった。
 さすが23世紀、と言いたいところだが、残念ながらこのドラマも「5分の1の法則」が守られていた。女性の割合が5分の1を超えると、男性視聴者が不快になるという理由から、ゴレンジャー同様スタートレックも女性は5人に1人なのであった。
 だがそれも改められていく。キング牧師には、将来スタートレックの主人公には黒人が抜擢され、さらにその後には女性が艦長になるんですよー、ってぜひ教えてあげたい。

端末はケータイ電話にタブレット? VRまで完備の艦内

 携帯電話なんてない時代であったが、ファーストシリーズのときから、通信は当たり前のように携帯電話を使っていた。またセカンドシリーズであるネクストジェネレーションでは、主に使うのは医療者だが、画面がいかようにも変わるタッチパネル式の端末が登場している。iPhoneなんてものが登場するはるか以前に作られた作品であるのにだ。
 それにとどまらず、船員はプライベートではホログラムを使って仮想空間で遊ぶ。きわめて優れバーチャルリアリティで、過去の世界に行ったり小説の主人公になってみたりと自由自在楽だ(使用する個人の趣味が出て興味深い)。
 未来物のSFは、どれだけ正しく予測をしているかというのが楽しみのひとつとなる。スタートレックの場合、こうしたスタイリッシュで使いやすそうな道具にリアリティがあり、関心するともに、小さい頃は「あれ、使ってみたいなあ」と憧れたものであった。
 

剣よりもフェーザーを持ちフォースよりワープ駆使した戦略で攻め

 世の人々はスタートレックよりはスターウォーズのほうがお好みのようである。だがスターウォーズは主人公が成長して強くなり宿敵を倒すという代表的なヒロイックジャーニーにすぎない。
 だが USSエンタープライズ号の乗組員たちは軍人だ。描かれるのはめちゃくちゃ強い個人が戦う物語ではなく、軍の一員として戦闘に参加する姿である。あっちがギリシャ神話なら、こっちは三国志なのである。
 星間飛行をする時代に剣を振るう必然性はない。所持するのは麻痺から消滅まで威力を調節できるフェーザー銃だ。
 また戦闘には戦略が重要である。上司に選びたい人ナンバーワンに選ばれたこともあるセカンドジェネレーションの名艦長、ジャン・リュック・ピカードは、ピカード戦術なるものまであみだした(ワープエンジンを利用し光より速く移動することによって敵を撹乱する戦術である)。
 うーん、やっぱりスターウォーズよりはずっと深いと思うんだけれどなあ。なんでみんな観ないの?


 以上、トレッキーによる推し短歌でした。


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