見出し画像

香水に潜んだアイリスの誘惑

いまとても香水欲が高まっている。

歯科矯正の装置の調整に行くたび、長時間横たえられ口の中を弄り回されて、肉体精神ともに瀕死。

へとへとで歯科医院を出たあとには、銀座に立ち寄って香水やジュエリーを眺めなくては正気を保てない。


季節は冬。バニラの香りに恋い焦がれて、セリーヌのブラック・タイを試したが、家族からはあまり好評を得られなかった。

少し冷静になってみると、たしかに自分の肌では甘みが強く出過ぎる。

バニラと一緒に香るシダーウッドが気に入っていたけれど、肌との距離0mm地点でしか観測できないのでこちらは諦める。


他に高貴な香りはないかしら…と再び放浪して見つけたのがゲランのイリス トレフィエ

アイリスとコーヒーの香り。「アッ、幸せ。」が第一印象。アイリスの暴力。パウダリーの波が私を襲う。そして甘い。私の肌の上では砂糖とミルクをたっぷり足したコーヒーの香りがする。

お値段が全く可愛くないので、何度も通い、テスターを手首につけてもらって検討を重ねているところ。

そして先日も、GINZA SIXでイリス トレフィエを左手首にのせてもらい、ウキウキで歩いていたら異空間を見つけた。

名前だけは知っていた。フエギア。

ディスプレイがあまりにも美しくて、吸い寄せられるように入店。

店員さんが魔法使いのような風貌でドキドキしたけれど、話してみたらとても柔らかい物腰の優しい方だった。

初めて来たことを伝えると、丁寧に香りの試し方を教えてくれた。

そして「わからないことがあれば聞いてくださいね~」とにっこりして、あとは自由に泳がせてくれる。

数が多かったので、ざっと香りの配置を教えてもらって、片っ端からテスターを嗅がせてもらった。

一通り嗅いだあたりで「気になった香りはありますか?」とさらりと声掛け。

なんて完璧な接客…と感動しながらも、気になった香りを伝えると、構成や作られた由来やイメージなどを教えてくれる。


気に入ったのはこれ。和訳は「月の谷」。アイリスとサンダルウッドとアンバーの香り。

説明を聞いたとき「またアイリスか!!」と驚いた。(香水が好きだけど、嗅覚は鈍いので全く気づかなかった。)

空いていた右手首にはこちらをのせてもらって、アイリスとアイリスの一騎打ちになった。

画像1

結果、どちらも女帝みがあってとてもよい。

イリス トレフィエは公務中で堂々としているときの女帝。でも少々背伸びした香りかもしれない、と比べてみて思った。これはもう少し年齢を重ねた頃に、縁があれば纏いたい。

月の谷は少し隙のある、素顔の女帝。特に時間が経って肌と馴染んだあとの香りがエロい…。等身大の自分をパワーアップしてくれそうな香りだった。次回試してみて、またときめいたらお迎えしてしまうかも。


ちなみにこの記事は、イリス トレフィエ月の谷がどちらもアイリスの香りで驚いた、ということを伝えたくて書き始めたのだけれど。

しょっぱなに当て馬(!)として書いたブラック・タイの中にも、よく見たらアイリスがいた。


そして、↓でも少し言及した、お気に入りの香水。

もう廃盤になってしまったけれど、一目惚れして大枚はたいて買った、ペンハリガンのムッシューボーレガードもアイリス(オリス)の香りだった。

天国のような香りがする人が傍にいたら、楽園はそう遠くありません。オーララ!なんて洗練されていて、なめらかな香りなんでしょう!

本当に天国に昇れそうな香りで、大事に大事に使っている。


画像2

いつか自分の香りを見つけるぞ!と息巻いていたけれど、もう私の天国にはアイリスが咲き乱れていたという気づきを得た。

他にもアイリス繋がりで色々な香水を試してみたいな。

それと、気に入った香りの構成はきちんと読んでおきましょう。(自戒)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?