【詩】春のあわれみ
こんにちは、深見です。
昨日今日と頭痛がひどいです。気圧のせいでしょうか。
春のあわれみ
ずいぶんあったかくなったなあ
やわい毛に覆われた柔らかな春のからだを撫でる
春のやつは人間があんまり好きじゃなくって
草木や虫なんかの方がずっと好きなんで
ぼくの手から逃れるように身をよじってちょっと鳴く
ここんとこのぼくはずっとちゃんと人間だったので
二足歩行はずいぶん上手くなったけれども
おかげで春にはとんと懐かれない
そこでぼくは目を閉じて
手のことも足のこともでっかい脳みそのこともぜんぶ忘れて
今日あった嫌なことも好きなあの人のこともぜんぶ忘れて
生活のことも過去のことも未来のこともまったくぜんぶ忘れてしまって
今、お腹がすいていることと、ちょっと肌寒いことだけを思い出す
すると春はぼくの首もとにすり寄って
草木や虫なんかにするように
あたたかな吐息を吹きかける
ああ、ぼくには本当に、こっちの方が合っている
それで目をひらくとぼくはやっぱり人間なので
春はたちまち逃げてしまって
窓のあたりでちょっとこちらを振り向いて
ぼくが人間であることを心からあわれむように、ほほえんだ
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