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人魚姫の夢  春弦サビ小説

スズさんのおもしろいアイディアに乗っかりました(^^♪

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当たったのは・・・(ハズレだったらごめんなさい)

ということでお届けしたいと思います♫



人魚姫の夢    【592字】

私、人魚姫。姫って言うからにはちゃんと許嫁もいるわけで・・・
 
でも春の波がギターを奏でる波間から見ちゃった。見つけちゃったのよ。
理想の彼氏。船乗りの彼。日に焼けた二の腕が美しくって私、彼から目が離せなくなった。
髪は浅瀬の昆布の影のようにしなやかになびくし、額はタカアシガニの甲羅のよう。
目は暗がりの黒猫のようで・・・そういえば私、黒猫を見たことがなかった。深海を旅したことがあるおばあさんから聞いたのだった。黒猫はいつも光る眼をしていて、周りに何も寄せ付けなかったって。でも考えたらおかしな話。深海に黒猫なんか棲んでないと思うのよ。きっと何かの見間違い?でも棲んでるかもしれないでしょ?
岩礁のような鼻は意思の強さを表している。それもそのおばあさんから聞いた話。でも仕方ないのよ。私は姫だから、ひとりでは旅をさせてもらえないの。
唇は朽ちていく珊瑚だった。唇は。珊瑚は年を経ると黙して語らないものだとお父様からちゃんと聞いてます。
でもやっぱり二の腕が好き。あの盛り上がったクジラの腹で抱きしめてほしい。
 
気がついたら港にいたの。
彼は天秤棒を担いで陸に上がっていった。私はそれだけが嫌だった。魚を獲る人は嫌だった。
 
彼は漁師ゆえ、そうするものにございます。と侍従のマグロが諭した。
それじゃあ、私にメロディーをちょうだい。そうすれば彼に届く。彼に私の思いが届くから。あの人の夢の中に届くから。
       了

春弦サビ小説に捧ぐ!
よろしくお願いいたします。


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