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2021年映画感想

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2021年5月の記事一覧

映画『SNS-少女たちの10日間-』感想 ネットが増幅させた人間の醜さ

 観てて、結構キツくなる作品でした。映画『SNS-少女たちの10日間-』感想です。  チェコスロバキアにおいて、とあるドキュメンタリー撮影が開始される。巨大な撮影スタジオに作られた3つの子ども部屋。そこに集められた幼い顔立ちをした3名の女優(実年齢は18歳以上)。彼女たちは、12歳と偽りSNSにアカウントを作成して、友達募集をするという任務を与えられていた。アカウントを立ち上げ、即座に連絡が来たのは何と成人男性ばかり。彼女らは、チャットやビデオ通話で男たちとコミュニケーショ

映画『街の上で』感想 今泉監督会心の代表作

 とにかく、全てにおいて「絶妙」な傑作。映画『街の上で』感想です。  下北沢に住み、近所の古着屋で働く荒川青(若葉竜也)は、恋人の川瀬雪(穂志もえか)から別れを告げられて、思いもよらぬ傷を抱えていた。それでも、ライブハウスや行きつけのバーに通ったり、馴染みの古本屋で、田辺冬子(古川琴音)と喋ったりと、青の平凡な毎日は続いていく。そんな中、美大に通う高橋町子(萩原みのり)から、卒業制作に監督する自主映画への出演を依頼される。その撮影現場で出会う城定イハ(中田青渚)など、女性た

映画『ノマドランド』感想 演技ではない言葉で綴られるドラマ

 アカデミー作品賞、監督賞、主演女優賞と総ナメの快挙、本当に素晴らしいですね。映画『ノマドランド』感想です。  ネバダ州の企業城下町「エンパイア」に暮らしていた女性、ファーン(フランシス・マクドーマンド)。夫は数年前に亡くなり、その後のリーマンショックで企業は倒産、「エンパイア」という町そのものも消え失せてしまう。住処を無くしたファーンは自家用車のバンをキャンピングカーに改造して、亡夫の想い出と共に流浪生活を始める。  amazonの倉庫での作業、国立公園の清掃スタッフなど