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2022年映画感想

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#ホラー映画

映画『ザ・ミソジニー』感想 懐かしくて前衛的なオカルト作品

 おどろおどろしいハッタリが懐かしいホラー。映画『ザ・ミソジニー』感想です。  『女優霊』『リング』の脚本や、『霊的ポリシェヴィキ』の監督などで知られる高橋洋によるホラー映画。監督作品を観たことはないのですが、「女性蔑視」「女性嫌悪」を意味するタイトルで、いかにもホラー作品な予告という違和感に、何か惹かれるものを感じて観てまいりました。  作品の雰囲気としては、懐かしいゴシック・オカルトという感じですね。古びた洋館を舞台にして、そこから舞台が動くことなく、少ない登場人物

映画『女神の継承』感想 逃げ場を一切作らない、容赦なしの恐怖作品

 現実含めて、ここ数年で一番怖い思いをさせられました。映画『女神の継承』感想です。  タイのバンジョン・ピサンタナクーン監督によるホラー映画作品。脚本原案とプロデュースを『チェイサー』『哀しき獣』の監督で知られる韓国の鬼才ナ・ホンジンが務めており、タイ・韓国の共同制作の映画となっております。  元々はナ・ホンジン監督の前作である『哭声/コクソン』のスピンオフとして構想していた物語をベースに、舞台をタイに移してキャラクターから一新して出来上がった作品だそうです。  悪魔

映画『死刑にいたる病』感想 ホラーというジャンルに収めた腕を評価すべきか否か

 確かに怖い作品ですが、怖がらせようとしている感もありました。映画『死刑にいたる病』感想です。  櫛木理宇による原作小説を、『孤狼の血』『凶悪』などで知られる白石和彌監督が映画化した作品。人間ドラマから裏社会ものまで、多作で幅の広い作風の白石監督ですが、今作はバイオレンス側の白石作品になっています。今まではヤクザものでの暴力描写のイメージでしたが、今作での猟奇殺人、シリアルキラーものの雰囲気は、初期の傑作『凶悪』以来な気がします。強いていえば、『孤狼の血LEVEL2』