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【都市伝説】『山道の親子』

あるカップルが夜遅くに、
山道ドライブを楽しんでいたときのことだ。

突然、
道路の脇から幼稚園児ぐらいの少女が飛び出し、
彼らの乗る車の前に立ちはだかった

少女は何事かを大声で叫びながら両手を大きく広げ、
彼らの車を停めようとしている。

こんな時間に、幼い少女が山奥に一人でいるなんておかしい。
もしかしてこの子は……
幽霊なのでは?


気が動転したカップルの男は、大きくハンドルを切ると少女のをすり抜けて、そのまま走り去って行った


しばらく走って気持ちが落ち着くと、
二人はさっき見た少女について話しはじめた。




二人ともあの少女を見たことにまちがいはない。




さっきは突然のことに動揺していたので考えが及ばなかったが、もしかしたらあの子は迷子になって困っていたのでは?
そんなことを話していると、道の前方から若い男が走ってきた。


は彼らの乗る車に気づくと、
大きく手を振って停まってほしいというゼスチャーを見せる。

二人は今度は素直に従い、車を道の脇に停めた

若い男は車に駆けよると、

「このへんで私の娘を見かけませんでしたか?」

と二人に尋ねてきた。

なんでも彼はこの山道を歩く途中で娘とはぐれてしまい
必死で探している最中なのだという。

するとさっきの子どもは、父親とはぐれて困っていたのか

そう納得した二人は
彼に先ほど幼稚園児ぐらいの女の子に出会ったことを告げ、
そのだいたいの場所も教えた。

少女を置き去りにした罪悪感から、
二人は
「そこまで車で送りましょうか」
と男に申し出たが、
男は
「いえ、そこまでしていただかなくても結構です。
どうもありがとうございました」
と言い残し、
少女がいる方向へ走り去って行った。


それからしばらくたった
ある日

二人が何気なくテレビを見ていると、
最近起きた

東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件

Wikipedia

の犯人が逮捕されたというニュースが流れた。

次の瞬間………


画面に映し出された犯人の写真を見て
彼らは顔色を失う

なにしろ
そこに映し出されたのは、
あの日の山道で出会った

若い男であったのだから。

次に映し出された被害者の幼女の写真にも見覚えがあった。

あの日、
二人が山道で出会ったのは、
はなればなれになった親子などではなく、

恐ろしい殺人鬼と、その魔の手から逃れようともがいていた
幼い少女だったのだ。


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