見出し画像

優しくて温かいひと

8.4
 
ここのところ、実家で飼っている犬(フレンチブルドッグ14歳女の子、名前「もなか」)の老化がぐんと進み、何度か「もう危ないかもしれない」と両親から連絡をもらうたび、仕事の合間を縫ってできるだけ実家へ帰るようにしていた。
仕事終わりに1時間半ほどかけて帰り、泊まって翌日そのまま出勤。この生活はもちろん疲れるのだけど、それはもう大切な家族の一員なので、できるだけ会っておきたいからそうしていた。

この日も遠隔カメラで様子を見ていたがやはりかなり調子が悪そうだった。あまりにもしんどそうな姿に涙が滲んで仕事にならない。ちょうど仕事の切れ間だったので早退させてもらって早めに実家へ行った。
 
よっぴにもずっと状態を伝えており、心配してくれていたからオンタイムで状況を報告した。
実は、かねてより実家の犬に会いに来てほしい旨はよっぴに伝えていたが、やはり家族に会うことへの覚悟が必要だったようで、実現していなかった。
しかしこのたび同棲の運びとなり挨拶に来ることを決めたため、それならばもなかにも会っておいてほしいという気持ちが強くなっていた。

会ったことはなかったが、よっぴはいつももなかを気にしてくれて、遠隔カメラ越しに眺めては「かわいい」と笑っていた。ちょうどごはんタイムに繋げたりすると、「食べてるところ見たい!」と言ってくれ、何度なく見てきた同じような食事シーンも目を細めてみていた。
 「ろっかのおかげでフレブルのことを知って大好きになったわ。いつか飼おうな」とも言ってくれる。

8月4日時点までは、お盆にお互いの実家に行こうと話していたが、実際の様子を見るとお盆までもちそうにない。
食事を摂らなくなっており、自分で水を飲んだりトイレに行くこともままならない、意識もときどきどこかへ飛んでいるようだった。
できることなら、可能な限り早く実家に来てもなかにあってほしい。
 
ただし、5日はよっぴ自身の引っ越しがある。
貴重な土日の土曜は事前の準備、当日の荷運び・荷ほどきなどでつぶれてしまう。だから日曜は仕事に備えて体を休めたいだろうから、無理だと思っていたし、よっぴにも言わなかった。
 
すると、よっぴ自ら「日曜行ってもいいかな?」と言ってきた。
引っ越しで疲れているところ大丈夫かと尋ねたが、やはり生きているうちにちゃんと会いたいと。むしろもっと早く会いに行くべきだったと。
申し訳ない気持ちが先に立ったが、ここは本当にありがたいことだと感謝し、お願いすることにした。
 
よっぴの優しさと温かい心に触れて、感謝と感動でいっぱいになった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?