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すごい美容師に巡り会った

この投稿の髪型にしてくれた美容師のことを。

先週の金曜日、鏡を見るたびに映る白髪に耐え切れず、仕事終わりに美容院に駆け込んだ。

 
当日19時半から行けるお店を探す。ホットペッパービューティー万歳。
仕事を終わらせ、簡単にメイク直しをしてお店へ向かった。

 
女王蜂のアヴちゃんのような彫りの深い顔面、カールした長髪の男性が「担当させていただきます」と来た。

 
第一印象は今どきだな、若いな、チャラそうだな、だった。
 

なんせ店の場所は梅田繁華街のど真ん中。ドン・キホーテの向かいのビル内にある。
店名にわざわざ「ショート&ボブ&髪質改善&韓国前髪」と掲げているくらいだから、流行りの髪形にしたい韓国好き女子が集まる梅田あるあるなお店なんだろうと思った。
 

しかしその数十分後、私は高い口コミ評価の理由をつぶさに知ることとなる。


 
結論から書くと、カットの上手さが衝撃的だった。
ただ上手いだけではない。勘や経験に頼るものではなく、きちんと理論がある。
 
頭は球体だから、さまざまな角度から見なければいけない。
まずはまっすぐ前を向いてフリーズ、首だけを右に傾けてフリーズ、逆の左に傾けてフリーズ、顎を引いて俯く姿勢でフリーズ。あまりにも真剣に鋏を入れていくので、息をするのも忍びないほどで、向かいのドン・キホーテの賑やかな看板をひたすら見つめていた。
 

私は立ち耳なので、髪が耳に当たりやすく軌道が変わってしまう(ストレートにならない)ため、耳にかける前提でカットを。
サイドの髪を耳にかけた際、前髪との繋がりが大切。ここの見え方で印象がガラッと変わる。
 
 
私が吐いた軽めの毒「電車とかで、残念な人見るじゃないですか。お化粧もオシャレも頑張っているのに髪の毛が残念な人。ああなりたくなくて頑張っている」にも、同意して膨らましてくれた。
まぁ美容師ならわかってくれるのだろうけど。むしろ私が上記の考え方になったのも、昔の担当美容師がそう言っていた影響なのだけれども。

 
そこから派生して「“伸ばしているロングヘア”と“伸びちゃったロングヘア”は全然違う」と言っていたのも完全同意だった。
意思があって伸ばしている人はケアもしっかりするし髪がキレイ。ではなくて、ただ手入れしていなかったら自動的に伸びたというケースは、傷んでいたりまとまりがなかったりする。

 
そこで話していて気が付いたのだけれど、私は元来がケチなのだ。
美容院に行ってそこそこの金額でトリートメントをする。ただ、日ごろのケアをしっかりしないとすぐに効果は薄れてしまう。じゃあトリートメント代が無駄じゃない?
洗髪もドライヤーもどうせ毎日しなければいけないのであれば、より良くなるようにしたい。
要するにコスパとタイパを重要視しているのだ。だって数千円だって稼ぐのにどんだけ大変やと思ってんねんまじで。
…と言うと、「全然ケチじゃないです。むしろ普通です」とフォローしてくれたのだけど、私はやっぱりこの貧乏根性が奏功していると思う。あと前提として美意識の高さは否めない。
 

今まで行っていた美容師を否定しないところも良かった。
「きっと前の方はこういう意思があって切ったと思うんです。喋ってないからわからないですけど。でもろっかさんの希望を聞く限り、僕ならこういう風に切ります」
「例えば、後ろのここ。段になってますよね?ここの生え癖を隠すためにとても上手に切っているとは思うんですけど、これでは希望のフォルムではないですよね?」
「前回は、今みたいに頭だけ傾けて切ったりとかしました? してないですか。でも希望がぱっつんだから~~」
「前の方が上手に切ってくださっていたので、僕は仕上げやすかったです」
 
と、言い過ぎて逆にもやは否定しているのでは?と思ってしまうほど、気を使って喋っているのが窺えた。
 

本人曰く「簡単ですよ、否定するの。こんな風に切るなんて信じられない!って。でも誰かを下げて自分を上げるのって格好悪いじゃないですか。美容師はそれぞれみんな自分の考えがあって施術をしている。だから、自分だったらこうするっていうのを説明して理解してもらうだけです」と。
私が「そうですね。否定したところで何の解決にもなってないですしね」と言うと苦笑いしていた。
 

「美容師さんってこんなに哲学してるものなんですか?」という私の問いに「みんなそれぞれあると思いますよ。ない人もいるかもしれないけど。少なくとも僕は持ってます」と自信たっぷり。
 

そういう喜びがあるから美容師を続けているのだそうだ。
「1000円カットは否定しないけれど、自分にとっては意義がないからそうなったら美容師をやめるかも。あ、でも逆に10分どころか3分とか目指すかな。日本一早い!みたいな」
「松屋には松屋の売り方がある。あの味であの値段であのサービスで。そのうえでお客さんに選んでもらえればいい。僕もそうで、全員に好きになってもらうことは無理だし望んでいない。自分なりのカットをして、それを望んでくれるお客様が来てくれればいい」と。
 


正直、美容院ではあまり話がしたくなくて、放っておいてほしいタイプなのだけど、会話がとてもおもしろかった。
等身大のプライドを持ち、職人気質に仕事をしていること、そしてそれを恥ずかしげもなく曝け出す美容師に久しぶりに出会った。
昔から髪形にはこだわりを持っていて、「人生で髪を切る回数なんて限られている」と、毎回気合を入れていた。働くようになってからは髪形で冒険もできなくなり、今となっては白髪隠しが第一優先なので色の自由もなくなってしまったけれど、大学生の頃は7色とか入れたりして美容院に4~5時間いることもよくあった。
そういう自分の中のこだわりをわかってくれる美容師に出会えて嬉しかった。

 
ただし若干聞き疲れもあり、終わったときには「なんかドラマを1本観たような感じです」と皮肉ともとれるようなことをつぶやいてしまった。
当の本人は「初回なんで、聞きたいこと伝えたいこと盛り込みました」と笑っていたけど。
 
本人曰くショートカットが最も難しくやりがいを感じているそうで、ちょっとしたお手入れだけを望む私に物足りなさを感じているようだった。
顎より下の長さだと追加料金もかかるし。
 
それでもまた行ってみたいと思わせてくれるほど、感動できる時間だった。


次回は、この美容師さんにめっちゃ褒められたヘアケアについてまとめる!(ようやく!) 

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