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#010 人種差別のおぞましさ、でも繰り返し読まずにいられない魅惑的な小説|ベッシー・ヘッドの言葉|Essay

Racialism: With all my South African experience I longed to write and enduring novel on the hideousness of racial prejudice. But I also wanted the book to be so beautiful and so magical that I, as the writer, would long to read and re-read it. I achieved this ambition in an astonishing way in my second novel, Maru. 

("Social and political pressures that shape literature in Southern Africa", World Literature Written in English 18.1 (1979): 20-26)
人種差別ー南アフリカでの人生で経験してきたことすべてを、人種的偏見のおぞましさについての不朽の小説として書くことをわたしは切望してきた。でも同時に、それは作家として自ら何度でも繰り返し読まずにいられないような美しく魅惑的な本であってほしかった。この望みは、驚くべき形で二作目の作品『マル』で成し遂げられた。

小説を書くことについて、作家ベッシー・ヘッドが亡命、人種差別、悪のパターン、古の南部アフリカの歴史について書いた文章。短い文章の中に、彼女が小説に込めたエッセンスが凝縮されている。
ボツワナの農村を舞台に描いた物語がほとんどだが、その中身は南アフリカやアパルトヘイトも含めた人種主義、差別についての強烈なメッセージであり、それを超えた人間としてこの世界に生きることへの鋭い気づきと解釈が読む人の心を捉えて離さない。

わたしは、南アフリカにおける彼女の経験がどのように小説になっているのかについてをその昔論文で書いた。(非公開)

この文章は本当に全部紹介したいくらい大切な気づきにあふれているけれど、この一節のみ。
マル(Maru)という小説は、ボツワナにおけるサンの人々への差別について強烈に描いた物語。読後感は独特。ハッピーエンドかどうかわたしにはいまいちわからないがロマンチックではある。そして美しくシャープ。ぜひ原文で読んで欲しい。

作家ベッシー・ヘッドについてはこちらのマガジンをご参照。

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