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まさか自分がそうなるとは@2回目の任国外旅行

私のSNSをフォローしてくださっている方はご存知かもしれないが、割と最近までJICAの制度を使い、任国外旅行をしてきた。
せっかくのアフリカ隊員である特権を生かして、
アフリカの国々をできるだけ回りたいと思い、
ルワンダ、ジンバブエ、ザンビア、ナミビアの4カ国(トランジットのエチオピアと南ア含めると6カ国)を周回してきた。

もちろんその国その国の個性というか、違うところはたくさん存在する。
しかし今回、何よりもその旅行の過程で、自分自身の価値観の変化に驚いた。
主には、時間感覚とチップ(お金)に対してである。

🇷🇼のローカルフード

時間感覚の変化

航空会社やツアーでは比較的しっかりとスケジュールが組まれ、それがちゃんと時間通りに守られるようになっている。
そうでないとビジネスとして成り立たないからだ。
時間に遅れることでクレームにつながったりリピーターが獲得できない、社名が汚れるなどのデメリットが多くある。
特に、格好のビジネス相手となるムズング(外国人)相手では。

今回の旅行中も、そんな光景を何回か見かけた。
ツアーの開始時間、終了時間。
数十分遅れでも遅れると、ピリつくムズング。
怒り出し不満を訴えるムズング。
正直、怖いと思った。
そしてそう思ったことが意外だった。
だって私も、つい少し前くらいまでは、そちら側の人間だったから。

私も、きっと、配属先に来てしばらくは(今も)こういう風だったのだろう。
それがアフリカの人にとってどれだけ気難しく、面倒くさく、怖く、滑稽に見えたことだろうか。
「人のフリ見て我がフリ直せ」とはよくいうが、
今回の件はまさにそうであった。

🇿🇼ローカルフード(おしゃver)
🇿🇼ローカルフード2


一般的に数十分というのはアフリカの人にとって誤差レベルである。
もっと---1時間、2時間、3時間。
遅れることやスケジュールが乱れることは当たり前で、それでもフレキシブルに対応すれば良いやなのである。
極論それで人が死ぬことはない。
でもムズングはタイムマネジメントが当たり前。
1分、2分でも時間は命であり、金である。
この感覚の齟齬はそう簡単に埋まるモノではない。

でも、それでも。
時間が大事なことは分かる。自分だって日本人で、そういう環境で生きてきた。
時間を守ることがどれだけ大切で効率の良いことか、分かる。
信頼性の獲得のために。
物事がスムーズに進むために。
自分がやりたいことを達成するために。
相手がやりたいことを叶えるために。
ずっと前から長い間計画していたり楽しみにしていたことであれば、よりそうだろう。
でも。でも。
やっぱり時間に拘りすぎて、
それだけに固執しすぎて、
時間の鬼と化しすぎていないだろうか。

そもそもこうして時間が守られないのは
もうアフリカの日常なので、「しょーがない」。
でもその中でもこういったツアー会社は本当によくやっっている方だと思う。
もしかしたらその遅延した数十分で別の新しい発見があるかもしれない。
別のできなかったことができるかもしれないし、
その時だけしかできない体験や経験があるかもしれない。
そしてそれは今後の人生を変える何かかもしれない。

それを怒ってばかりで気づけないのは、
他に目もくれないのは、勿体無いのではないか。
アフリカンの精神を、少しくらい取り入れ寛容になっても良いのではないか。

そんな風に思った時、
少しアフリカの人達の肩を持ってあげたいなんて思った時、
あぁ自分はだいぶ変わったな、と思った。
それだけ、ただの「旅行客」としてではなく、
たまにアフリカと関わってディスターブされるのではなく、
草の根レベルで、現場レベルでアフリカの人と関わって、普通の人よりも少し長い間彼らと過ごし、
少しでも学んだところや理解できたところがあるのだろうと思う。

私自身いまだにウガンダ人に時間のことで怒ったり注意したりもするが、それでも。そんな私でも、確かに価値観は変わったのだなということが
彼らからちゃんと得ているんだなということが
自分でも驚いたし、少しおかしくて、なんだか嬉しような気もして、
ちょっと笑えてしまったのであった。

🇿🇲ローカルフード

チップ(金銭)感覚の変化

外国ではチップが当たり前なのに日本人はほとんどチップを払わない、という話をどこかで聞いたことがある。
その通りだと思う。
もともと日本という国においてチップを与えるという習慣がないし、求められる金額(ホテル代だったらホテル代、ツアー代だったらツアー代)をしっかり払っているのだからそれ以上支払う必要はない、という感覚があるだろう。
あるいは、例えば飲食店ではレジ計算が合わなくなるからむしろ困るというケースがあるかもしれない。

私自身、ことさら求められる金額以上に相手に与えたりチップを払うということは全くしてこなかった。
しかしウガンダで1年5ヶ月活動し、
さらに外を見てみると、
むしろチップを与えたい、
という気持ちになるようになってきたのである。
ツアーのガイド、タクシーのドライバー、
優しくしてくれた人。
その人達が誠心誠意私たちのためにサービスをしてくれて、向き合ってくれて、時間を守って、尽力してくれたら---
たくさんのものを与えてくれたら。
それがアフリカの人にとって特に、どれだけすごいことなのか。
アフリカで生きてきて、それができるようになるには、どれだけ大変だったか。
今の私には少しはわかる。
彼らがどれだけ勉強し、
どれだけ相手のことを考え、
自分の生活のためとはいえどれだけその仕事に精を出しているか。
どれだけプロフェッショナルに努めようとしているか。
それは賞賛に値し、当たり前のことではない。
もちろん雑な対応をしてきたり、
タバコ吸ってばかりだったりする人達もいる。
そういう人たちにはチップを与えたいとは思わない。
けど、以前に比べて自分の財布の紐は良い意味でゆるくなったし、少額だとしても相手に感謝の気持ちとして伝えて与えることをするようになった。
賄賂ではない。純粋な、感謝である。
アフリカの人にとっては
(アフリカの人に限らずなのだが)、
お金は本当に大事で、
感謝の気持ちをただもらうより
感謝+「モノ」の方が圧倒的に嬉しいからである。
チップをあげない人に自分自身が逆に驚く場面もあった。

そういう変化が、面白いと思う。

🇳🇦のローカル屋台

・・・

任国外旅行を経て、
それは旅行した国だけではなく、
ツアー中の旅行客とも関わる中で、
それぞれの国の良い面も悪い面も軽く知れて、
また自分の世界が広がったと思う。
世界を回るのは、とても楽しい。

そして自分においては
もちろん観光地を回って
いわゆる名所のインスタ映えするような場所や食べ物を楽しむのも良いのだけど、
何よりその国の、その土地の人と
関わってお話しすること、
たくさん質問して一緒にご飯を食べてお互いのことをあぁだこうだとお話しすること、
ローカルに溶け込んで
ローカルに接して
その国の本質に触れること、そしてそれを経て
今まで知らなかったことを知れること、
それが最高に楽しくて面白くて幸せだなと思う。


昔の私へ。
トランジットも含めると、アフリカの国9カ国も行ける日が来るなんて想像していただろうか。
こんなにアフリカの人と関わる日が来るなんて思えただろうか。
でもきっとこれからも、もう少し、
もっと行ける国は増えるよ。
たくさんの人と関われるよ。
アフリカでも、中南米でも、どこでも。
協力隊を通して、こんなに世界が小さいと知れたから。海外が近いと知れたから。
コミュニティに入り込む経験ができたから。
今までよりずっとフットワークも軽く、
行けないところ、できないことなんて無いと知れたから。
もちろん気をつけなければいけないところは気をつけなければならないけど!!

本当に、アフリカにきてよかった。
協力隊に参加してよかった。
2回目の旅行を終えた今、
今まで以上にその感覚に至れている。

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