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【R16 訪問販売編 第7話 カタギでは無い】

日に日に浜田さんへの不信感が強くなって来ていたがそれでも毎日浜田さんと一緒に居た。

むしろ居るしかなかった。


車の事もあるし金の事もあるし生活があったから。


その後もスナックには行ったがもう俺は2人に騙されている気がして話す気もKinKi Kidsを踊りながら歌う気もない


そんなある日、浜田さんが『知り合いの会社と合同でやろうよ』と言って来た。もちろん俺に相談するフリしてきたがすでに決定事項だと思う。


大阪本町に拠点を置く会社と市外に拠点を置く会社だ。2社とも浜田さんとは昔から交流があるらしくて


本町はF社長・市外はK社長



この合同をきっかけに広島や九州の訪問販売会社と一緒に回って月間売上げ競い合いしょうよと競争心を出させる風になったが、それ以降も俺は一人で回って浜田はスロットをしていた。(もちろん売り上げ対決は不参加)


みんな昔から浜田さんを知っているので驚きもしていなかったが、そんな光景を見かねて広島組が俺に『一緒に叩こうよ』と言ってくれて色々話していた。


広島組に『広島で一番有名な奴がこいつだよ』って紹介されたのがMさんと言う方で

細いのにムッキムキで上半身脱いで見せてくれたが、身体が異様に傷だらけで切り傷があって刺された話とかしていた。


拳も異様に大きくてマンガに出て来る様な拳ダコで手が傷だらけだった。(オラオラしてる奴とか見たらまず拳を見てしまう、キレイな手をしていたら好奇心半減)


嘘かどうかは分からないが年少から出た後すぐに広島連合に一人で喧嘩しに行き数十人相手でも一人で突っ込んでいくと言ってて


当時の広島で彼の名前を出せば悪そうな奴はだいたい頭上がらんから『なんかあったら言えよ』と言われたが何も無いしトラブルは避けたいと思っていた。


漫画の様な話だが身体や拳を見たら(うおっ)と思うくらいで、しかもめちゃくちゃ売るらしく話を聞いたが、俺が思うにはこんな人が家入って来て強く勧められたら買わざる得ないんじゃ無いかと思って自分とは違うな感じて聞いてるフリで話半分だった。


もう一人仲良くしてくれた人がいて、大阪のK社長の元で働く永井さんと言う人だ。

永井さんは俺の5個上ですごくいい人で普段は永井さんとAちゃんと言う女の子とTくんの3人でK社長の元で仕事をしているらしい。


K社長と浜田さんは九州の時から知っているらしく


この頃からK社長の事務所によく行くようになり永井さんとも仲良くなって一緒に現場に出て叩いたりしていた。


19歳の俺でも分かるくらいK社長も周りの人も普通のカタギでは無い雰囲気があった。それを察してかF社長は合同から手を引いて関わらなくなった。


浜田さんとオレ・永井さんとAとT

この5人で行動し永井さんも浜田さんのクセの強さに流されてスロットに行くようになった。


スロットに行ってる間にオレとAとTはアポを取りにテリを回る。


浜田さんは永井さんの会社のK社長の友達なのでいつも断りにくそうにスロットしていたのを覚えている。


その頃、今までの事で浜田さんに不信感がありオレと浜田さんの間に見えない壁のような物が出きててオレは誘われなくなっていたしオレと2人で居るのが嫌そうだった。


それはオレも同じ気持ちだった。


浜田さんはスロットを存分に楽しんで夜10時くらいからクロージングに行くときもあった。(普通に考えて時間もあり得ないけど浜田さんには関係なく売って来る)


そんな永井さんとの関係が数ヶ月続き、浜田さんがクロージングに行ってる数時間の間に永井さんといつも話していて


永井さん『こんな生活今まで大変だったね〜。すごいよこれで今までやって来たの。オレならすぐ辞めてるわ』って。


初めて訪問販売をやり出してまともな人に会った気がしてなんかホッとした。


永井さん『オレは浜田さんに会う前にK社長に言われたよ。あいつはめっちゃ売るし営業力はすごいけどクセが強いからお前は流されないよう。いい所だけ盗めよ。って』


確かにそう。すごい部分は本当にすごい。嫌がらせで絶対に売れないであろうと思うアポを渡しても数時間かけて売って来る。

しかもクーリングオフも来ないから圧では売ってなくてキレイに売って来る


でも本当に少年すぎてしんどくなるしウザい。


永井さんのチームのAとTもポンコツで一切アポ取らないし今まで苦労して来たみたいでお互い愚痴が溜まっていて、永井さんとはすごく仲良くなってプライベートでも浜田さんには内緒で家に行ったりBBQ行くくらい仲良くなった。


それからも浜田ルーティンは変わらずに

迎えに行き起こす→1時間待つ→ご飯食う→永井さんに合流→浜田さん永井さんスロット。


その間俺は一人で布団売ったり、AとTもアポを回ったりしていたがアポ内容を浜田さんに伝えると『自分で行って来て〜』と仕事は一切しなくなっていた


給料はその時は金が無くなったら布団を売りに行くだけだったのでオレが布団売ってもローンだとK社長から浜田さんに行くし


現金でも全額、浜田さんに渡さないといけないので

いくらか貰うだけで生活費くらいしかなくて全て浜田さん次第だった。


それでオレは永井さんにも相談して訪問販売を辞めることを決心した。


そして浜田さんに『辞めます』と言う時がきた。


つづく





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