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父からの贈り物

土のついたほうれん草、長く曲がったゴボウ、5分づきのお米と一緒に包まれていた紙の袋。

中には檜の角材が入っていた。
ほのかに香る森の香り、地元の空気。

誕生日プレゼントを渡した時に、"要らんのに"と言ってしまうような、不器用な父の優しさが、オンラン疲れした私の心に響いた。

人口29人の限界集落。
出かけるには親の送迎が必須で、買い物もお出かけも滅多にできない。
何もない地元が嫌で早く出たいと思っていた幼少期。

大家族のような近所付合。
道を歩けば"おかえり、ただいま"が合言葉で、困ったときはお互い様。
人の暖かさと支え合い、豊かな自然に支えられていた幼少期。

人と会えない中で、改めて触れること、感じることの大切さを体感している。笑顔で、地元に帰ってまたみんなに会えるように。

檜の香りのするお風呂につかりながら、久しぶりに父に電話しようと思う。きっと、電話なんか要らんのにって言われちゃいそうだけど。

実家に帰ることはできないけれど、地元を家族を思うことはできるから。

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