AirPlug™、汎用技術(GPT)として社会実装に挑む【事業開発:加藤木健】
2022年2月にエイターリンクにジョインした加藤木(かとうぎ)健です。今回は、私の現在の仕事やこれまでのキャリアのこと、エイターリンクに入社を決めたいきさつをはじめ、私の目線で見たエイターリンクの可能性についてお話しします。
現在、私はプロジェクトリードという肩書きで、主にビルマネジメント領域の業務に携わっています。具体的には、お客様であるデベロッパー企業やゼネコン企業の担当者様と、ビルを主とした施設にAirPlug™のワイヤレス給電空間の実装提案、アプリケーションを日々一緒に膝を突き合わせて考えていくことを仕事としています。
京都大学で医療のIoT化を研究
大学では、ライフサイエンス、ITを駆使した予防医療に興味があり、特にウイルス感染症の研究を行っていました。IoTという言葉のなかった時代でしたが、他業界では、すでにITとつながることで爆発的なスピードで革新が起こっていたことから、医療業界も、このITとの掛け合わせることで必ず大きな波が来るだろうと考え、研究領域に決めました。具体的には、コロナ禍の昨今で普及し、店先にも配置されるようになったサーマルカメラに代わる、ウイルス感染症の非接触診断技術の開発を行っていました。
その後は、家庭の事情から地元埼玉に戻り、AIをはじめとした研究に注力しているイメージがあった外資系IT企業に就職します。その後4年ほどコンサルタントとして従事していましたが、偶々通っていた英語塾の先生が立ち上げたベンチャー企業にCTOとして参画することになり、ライフサイエンスとナノテクノロジー、ITをかけあわせた技術を基盤に、大学と産学連携を重ねながら事業と技術開発の両方を推進していました。この会社では、ナノサイズの薄膜形成型保湿剤を開発し、化粧品をプロダクトとしてローンチしていました。
この技術はうまい説明がいまだにできないのですが、アニメ『攻殻機動隊』の映画『イノセンス』の冒頭部分のシーンで、水槽から流れるアンドロイドの義体に人工皮膚が徐々に組織化されて、皮膚になる「あれ」、といえばわかる人にはわかるのではないでしょうか(笑)。
技術と事業の協調に興味
しかし、6年目に差し掛かった会社の方向性が最初に出したプロダクトの業界慣習に引きずられるようになり、私が目指すこととのギャップが徐々に鮮明になっていたことから、会社から去る決断をしました。そこで自分の研究していたことが、ど真ん中のライフサイエンスではなくIoTに寄ったものだったこともあり、ヘルステック領域で探していましたが、あまりピンとくる事業が少なく、諦めかけていた時、エージェントから面白い会社があるという紹介を受けたのが、エイターリンクでした。
エイターリンクのコア技術が、スタンフォード大学のメディカル領域から端を発しており、超小型のメディカルインプラントデバイスへの給電技術であること、これをそのままメディカル領域で展開するのではなく、まず別の業界に応用して、早期に社会実装を目指す戦略には、ハッと目を見張るものがありました。これがフックとなって、技術開発と事業開発のバランス感覚が今までの自分にない考えであったと、強く惹かれ、入社を決めました。
GPTとして社会実装する、AirPlug™
エイターリンクの事業は今までのワイヤレス給電の枠組みを超えた形で展開していく、と私は考えています。
もともとワイヤレス給電は一つの技術の体系であって、10年くらい前からあるものです。ただ、キラーアプリケーションといわれるような、社会のインフラになる形で普及するアプリケーションはこれまでなかったように思います。そんななか、FA(ファクトリーオートメーション)の領域で可動部センサーに対する給電に対して、田邉が開発したメディカルインプラントデバイスへのワイヤレス給電技術が適用でき、キラーアプリケーションになりうることを岩佐が発見したことはとても画期的で、運命的なことだと思っています。当社のワイヤレス給電技術AirPlug™は、歴史的には蒸気機関、現代なら人工知能やインターネットのような、ジェネラルパーパス・テクノロジー(GPT、さまざまな技術やプロダクトに応用できる、高い汎用性を有する技術)として、技術が社会実装される始まりを目撃しているのでは、と考えています。
このAirPlug™のアプリケーションを拡大していくことが、エイターリンクの発展につながっていくと思っています。たとえば、いま、私が担当しているビルマネジメントの領域で行っているサービス・プロダクトは、ゆくゆくは私たちのあらゆる生活領域にも浸透していくでしょう。そうなると、必然的に人の情報も取得するようになっていくと考えます。いまもすでにスマートウォッチのようなウェアラブルデバイスが血圧や心拍数といったいろいろな情報を管理してくれていますが、ワイヤレス給電の普及によって、これが体内埋め込み型になったり、指輪やイヤリング、ピアスのようなアクセサリーに代わっていったりするかもしれません。いま、任されている私の業務範囲も将来的には、当初、自分が志した予防医療分野につながっていくと確信しています。
仲間と共に、エイターリンクの未来を拡げていく
確固たる技術を持ちながらも、アプリケーションはこれからという当社のフェーズでは、いろいろな発想ができる人、いろいろな経験を積んできた人、あらゆるバックグラウンドをもった人が活躍できるたくさんの場面があると思います。たとえば、家庭問題に真剣に取り組んでいた経験、子どもの頃に思い描いてきた妄想、新しい冒険を追い求めているパッション、ここにはあらゆる経験を活かすことができる文字通りのフロンティアがあります。ワイヤレス給電に対する知識は入社後に学べる機会がたくさんあるので、心配はいりません。ヒトが、ワイヤレスで誰もが、いつでも、どこでも、ネットワークにつながる世界。その先の未来を一緒に見ましょう!