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もうひとつのトシオとジブリとケンジの音楽[読書memo]

「熱風」2023年7月号掲載スペシャルトーク。

4月7日に岩手県花巻市大沢温泉で行われたイベントを収録したもので、茅葺きホールのオープンを記念して、当温泉に毎月訪れるというスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー、宮沢清六(賢治の実弟)の孫の宮沢和樹氏、大沢温泉の高田貞一社長が出席。

ホールのオープニング展示はタイの写真家カンヤダ氏の写真展でトークはその話題から始まる。

すぐに、場所が花巻ということもあって、宮沢賢治の話題となる。そこにはいくつかの興味深い発言があった。

宮沢賢治の有名な帽子をかぶって立っている写真は、彼が大好きだったベートーヴェンの格好を真似しているとのこと。ベートーヴェンの「田園」のアルバムのなかに、同じ格好をした絵があるのだそうだ。

また、宮沢賢治の「春と修羅」収録の「小岩井農場」という詩は、ベートーヴェンの「田園」をBGMに、「永訣の朝」はバッハの「G線上のアリア」をBGMにするとほぼ収まるというのだ。「永訣の朝」の原稿には"G"というメモ書きもあるのだという。

ジブリでは、高畑勲監督が「セロ弾きのゴーシュ」をアニメ化している。

このアニメについては、三浦雅士氏の「熱風」連載(「スタジオジブリの想像力地平線とは何か」)で触れていたことで興味をもち、ちょうど配信で観られる機会に当たり、高畑勲監督の緻密な音楽描写越しに宮沢賢治がイメージしたベートーヴェンを見たような気になっていたことを思い出した。

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