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LIFE SPAN(ライフスパン):老いなき世界は夢じゃない

ハーバード大学医学大学院の教授デビッド・A・シンクレアが書いたLIFE SPAN(ライフスパン)は、全米で大ヒット。日本にも翻訳版が上陸し、YouTuberさん達の動画で早速取り上げられている。
シンクレア氏本人のインタビューや講演もYouTubeにたくさん投稿されていて、私はその動画を見ては希望を膨らませている。

シンクレア氏が動画で熱弁している内容は大体この本に詰まっているので、読み終えたこの機会に本の情報をシェアしたい。

時間は有限。
どうせ読むなら、自分に合った良書をじっくり読みたい。
そう考えて日々情報収集している人へ。

デビッド・A・シンクレアという人(ザックリと)

ハーバード大学医学大学院の教授であり、同大学院のブラヴァトニク研究所に所属。主に老化の原因と若返りの方法に関する研究を行っている。
実はシンクレア氏、1枚の名刺に全てを羅列するのは不可能だろうというほど肩書の数を持っていて、14社のバイオテクノロジー企業を共同創業するなど起業家でもある。
1日48時間くらい持ってるんじゃないの?と疑いたくなる人物だ。

オーストラリア医学研究賞など様々な賞も受賞していて、アメリカのニュース雑誌「TIME」で「世界で最も影響力のある100人(2014年)」や「医療におけるトップ50人(2018年)」にも選ばれている。

もう、単に一言「色々やってるスゴい教授」でいいんじゃない?

LIFE SPANの内容(重要なところだけザックリと)

この本は医療に関する本なので、ネタバレという概念は当てはまらないってことでいいでしょうか?

超要約すると、この本が主張したいのは「老いは必然ではない」ということだ。
あらゆる生き物は老いていく。そんなの当たり前だろ!とツッコみたいところだが、もしその「老い」に「原因」があるとしたら、どうだろう?
例えばガンは、ある意味、年を取りすぎた細胞に起こる自然な出来事だ。だがガンの原因が解明されていくにつれ、ガンは治療できる「病気」となった。
つまり、老いの原因が解明されれば、老いも治療すべき対象として考えられるのではないか?

この本はそういった疑問から始まり、それに答えるように現時点で分かっている、
・老化の唯一の原因
・長寿遺伝子の存在と役割
・長寿遺伝子を活性化させる具体的な方法(あくまでもシンクレア氏が考えるところによる)
・未来の老化治療に関する展望&予想
・未来の医療イノベーションへの展望&期待
・健康寿命が延びた世界はどうなるか予想
・老化研究、医療の在り方、遺伝子操作研究に関する課題
・シンクレア氏が長寿遺伝子を活性化させるために実践している方法
といった内容が超具体的に解説されている。

超具体的すぎて専門用語が多い&本がやたらと分厚いのが読者層を狭める気がするが、文章自体は読みやすく、巻末に専門用語の簡単な解説(かわいいイラストつき)もある。

私はYouTube動画でしっかり予習していたこともあり、具体的な解説部分は飛ばし読みして、しっかり読み込みたい章を重点的に読んだ。
多くの人がそうだと思うが、「長寿遺伝子を活性化させる具体的な方法」の章とかね。
本を手にした当初はその章だけ読むつもりだったが(笑)、他にも興味を惹かれる章が多く、結局あれこれ読んで終わった。

この本の一番スゴいところ

この本が他のものよりひと際輝いているのは、現在進行中の研究内容が大盤振る舞いに書かれているということ。研究者は「ウソだろ!なんて危険な!」と叫びたくなる行為だ。
最新の研究内容が一般の人に知れ渡るのは、その研究結果が出た何年も後のこと。それも、商品化されれば広く知れ渡ることになるが、そうでない場合は、難しい論文の発表のみで終わる。

最新の研究内容を広く発表するのは、とてもリスクが大きい行為。
シンクレア氏がそれを承知で本を出版したのは、とてつもない義務感を感じているからだ。彼は様々なインタビューでそう答えているし、この本の中でも、

私のチームやほかのチームが新しい研究結果を発表したあとは、決まってメールが洪水のように押し寄せてくる。
「何を飲んだらいいですか?」
「臨床試験の被験者になるにはどうすればいいか教えてください」
なかには、もっと悲痛な内容のものもある。最近、1人の男性から私の研究室へ寄付の申し出があった。老化に伴う病気で、長いあいだ苦しみぬいて無くなった母親に代わってのことだという。「ほかの人が母と同じ苦しみを味わわなくて済むように、微力ながらぜひともお力になりたいのです」。その翌日には女性からメールがあり、アルツハイマー病と診断された父親をなんとか研究の被験者にしてもらう手立てはないかと訊いてきた。「何でもします。どこへでも連れていきます。お金は最後の1セントまで惜しみません」。メールはそう訴える。「家族は父しかいないんです。これから父がどうなっていくのかと思うと、とても耐えられそうにありません」
LIFE SPAN(P. 168~P. 169)

と書いている。
この本は、勇気ある1冊なのだ。

長寿遺伝子を活性化させる具体的な方法(あくまでもシンクレア氏が考えるところによる)

私を含め、みなさんが一番気になっている部分だ。
長寿遺伝子って何?と疑問に思う方、ぜひこの本を読んでみてほしい。そこを記事で解説すると長くなるので、ここでは省略する。

本では、具体的な方法+なぜその方法が長寿遺伝子を活性化させるのか、を医学的根拠を挙げながら解説している。が、この記事ではポイントだけを箇条書きで伝えたい。

・適度なカロリー制限(間欠的断食など)
※過剰なカロリー制限は逆に寿命を縮める+新たな疾患の原因にもなり得るので注意。
・アミノ酸(特に肉)を適度に制限
・適度な運動(特に高強度インターバルトレーニング(HIIT)が効果的)
・暑さ(サウナなど)&寒さに適度に身をさらす
・タバコ、有害な化学物質(食品添加物など)、放射線(CTスキャンなど)をなるべく避ける

「適度に」という言葉が羅列しているが、何事もやり過ぎは病気につながる。長寿遺伝子を活性化させるつもりが、逆に寿命を縮めては元も子もない。
この本では長寿遺伝子を活性化させる物質もいくつか紹介されていて、シンクレア氏は実際にそういった物質を摂取しているが、まだ人体での研究結果が十分ではないため「あくまでも現段階での事実を伝える」ことを何度も強調している。

具体的な方法として挙げられているものはどれも、今すぐ誰もが実践できる内容だ。上の箇条書きだけ読むと「なんかどこかで聞いたことあることばかりだなー」と思ってしまう。が、医学的根拠を読むと、明日から実践してみたいという気になってくる。

シンクレア氏が実践していること

シンクレア氏は、この部分に入る際にこう前置きしている。

「食事のカロリーを減らせ」「小さいことにくよくよするな」「運動せよ」以外に、医学的なアドバイスをするつもりはない。私は研究者であって医者ではないからだ。人にああしろこうしろと指図する立場にはないし、サプリメントにしてもほかの商品にしても特定のものを推薦することはない。
とはいえ、自分自身が何をしているかであれば公表してもいいと思っている。ただし、いくつかの点を断っておきたい。
LIFE SPAN(P. 474)

そして、「いくつかの点」を要約すると、「自分のやっていることが皆にも同じ結果をもたらすとは限らないし、この方法が正しいかどうか自分でもまだ結論が出せていないし、この方法に関する長期的な臨床試験はなされていない」ということだ。
その上で、シンクレア氏が実践していることに挙げているのは、

・NMN1グラム、レズベラトロール1グラム、メトホルミン1グラムを毎朝摂取
・ビタミンD、ビタミンK2、アスピリン83グラムを服用
・砂糖、パン、パスタをなるべく避ける
・間欠的断食
・数か月に1度の血液検査に応じ食事や運動を修正
・なるべく動く&運動(週末はジム)
・ベジタリアンな食事
・タバコ、過度な紫外線、レントゲンやCTスキャン、電子レンジにかけたプラスチックをなるべく避ける
・日中と寝る時は涼しい場所にいるようにする
・BMIを健康寿命を延ばすうえで最適の範囲内に保つ(シンクレア氏の場合は23~25)

NMNとは何ぞ?メトホルミンとは??という情報が気になって仕方ない人は、ぜひこの本を読んでみてほしい。
ちなみに、この本で語られている「老化の治療が可能になる時代が来る」は、決して人間が不死になるわけではない。あくまでも健康寿命を出来る限り延ばし、死ぬときはコロリと死にたい(または尊厳死をしたい)というのがシンクレア氏の主張だ。

この本を読んで私が実践すると決めたこと

私よりもよほど知識がある人が、医学的なデータに基づき詳しく解説しているわけだから、この本の内容がまったくデタラメというわけではないだろう。
と考えて、私も長寿遺伝子を活性化させる方法を実践することにした。
私が実践するのは、

・アミノ酸(特に肉)を適度に制限
・適度な運動(特に高強度インターバルトレーニング(HIIT)が効果的)
・暑さ(サウナなど)&寒さに適度に身をさらす
・タバコ、有害な化学物質(食品添加物など)、放射線(CTスキャンなど)をなるべく避ける

の4つ。
本当は一番効果のありそうな間欠的断食を実践したいところだが、摂食障害経験者のせいか、血糖値コントロールが上手くいかずなかなか厳しい。
たまに挑戦してみてもいいかもしれないが、試しに間食を抜いただけでも不調になる私には向いていないような気がする。

もしかすると、自分が寿命を迎えるまでに老化の治療が実現可能になって、もしその時まで健康体を維持できていたなら、老化の治療の恩恵に与ることができるかもしれない……!
夢があって、いいじゃないか。



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