インターネットカフェとシェアハウス
上京してすぐは住む場所がなかったので、数週間は新宿付近のインターネットカフェを転々としながら仕事を探した。
最後に泊まったインターネットカフェは鍵付きの完全個室で足を伸ばして体を横たえられる広さがあり、数百円で洗濯機やシャワーも使えるなど生活するには問題なかった。
一度だけ警察が来た事があり、どうやら同じ階の利用者が誰にも看取られず亡くなったようだった。自分と似た境遇だったのかもしれないので、見ず知らずの相手とはいえ切なくなった。
賃貸物件を借りるなら職場の近くが良い、だが仕事が決まらない状態では一般的な賃貸物件の入居審査に通りにくいというジレンマに陥ったため、まずは引っ越しが容易なシェアハウスに住もうと考えた。
新宿~渋谷(資金のある企業が多い)に通いやすい物件を調べて、条件が合いそうなシェアハウスの管理会社に問い合わせた。
その際、数年前に問題になったシェアハウス(かぼちゃの〇車)にも問い合わせたが募集中の部屋は埋まっており、代わりにと紹介された部屋の値段が高過ぎて候補から外した。(後から考えると、いわゆるおとり物件だったのかもしれない)
シェアハウスを4件ほど内見して、駅の徒歩圏内で窓から緑が見える物件に決めた。
駅から徒歩5分ほどで賃料が安い点が魅力だった。
そこは神社とお寺に挟まれた立地で、自室の窓から見下ろすとお墓、玄関から出ても視界にお墓。
「オーシャンビューならぬグレイヴビュー」などという言葉が頭をよぎった。
夜に帰宅すると街頭も薄暗く雰囲気は満点だったが、そこで心霊現象に遭遇した事はない。
そんな場所なので色々な虫は出るし、特にゴキ〇リは遭遇しない日が珍しい程によく出る。(そのためシェアハウスで一等聴いた英単語はC〇ckroachである)
英語圏の人も複数いるシェアハウス生活を通して、「日本のゴ〇ブリは海外のソレより大きい」という残念な知見を得た。
仕事が決まって一般的な賃貸物件に引っ越すまでの3ヶ月程をシェアハウスで過ごしたが、知人以上友人未満の人と同じ家で生活する貴重な経験となった。
以下はシェアハウスのメリット・デメリット。
メリット
・固定費が安い(自室ワンルーム+共用リビングキッチンが使えるので実質1DK。駅まで徒歩5分、家賃光熱費インターネット込みで5万円代)
・大型の家具家電は備え付けなので購入不要(この期間に買った家具家電はドライヤーとデスク、三段ボックスだけ)
・入退去時の費用が安い(かかったのはデポジット料の1万円くらい)
・引っ越し費用が安い(免許所持なのでレンタカーを借りて全てを一人で運んだので7,000円くらい。業者の見積もりでは数万円だった)
・共用部の掃除は清掃業者が担当するので、自室の掃除だけすれば良い
・住人と旅行・帰省のお土産交換ができる
・荷物の受取を協力し合える
・玄関と自室は別の種類の鍵&基本的に家に誰かいるので防犯面で安心
・NHKの受信料は管理会社負担なので集金人が来ない
デメリット
・管理会社の対応が遅い(これは値段相応かもしれない)
・共用部にある冷蔵庫・冷凍庫、棚の使えるスペースがほとんどない(先に入居した住人のもので埋まりがち)
・共用部に私物を置くと他の住人に使われる場合がある
・風呂や洗濯機利用の順番待ちが発生し、長時間は使えない
・他の住人と生活リズムが合わないと、共用部での話し声が聴こえて睡眠を阻害する
求める条件に合うシェアハウスは多いし、他の住人や管理会社との相性が良ければ長く住む事は可能かもしれない。
あれから4年経った今では一人暮らしが快適すぎて、家族以外の誰かと住む事は二度となさそうだ。
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