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12カ国における気候変動デマ情報と戦うための心理的戦略

Psychological inoculation strategies to fight climate disinformation across 12 countries
https://www.nature.com/articles/s41562-023-01736-0

この研究は、気候変動に関するデマ情報に対抗するための6つの心理的介入戦略の効果を、12カ国、6,816人の参加者を対象にテストしたものです。この研究は、デマ情報が人々の気候変動に関する信念、感情、デマ情報を見分ける能力、そして環境に優しい行動に与える強い負の影響を明らかにしました。しかし、介入戦略が提供する保護効果はわずかで、デマ情報に2回目にさらされた後には消失することがわかりました​​。

具体的な介入戦略は以下の通りです:

  1. 科学的コンセンサスの接種:気候科学者の間で、人間が気候変動の原因であることにほとんど異論がないことを説明します。

  2. 信頼の接種:IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の科学者の信頼性に焦点を当てます。

  3. 透明なコミュニケーションの接種:気候変動対策の利点と欠点を取り上げます。

  4. 道徳化の接種:気候変動対策と多様な道徳的信念との関連を強化します。

  5. 正確さの接種:参加者が受け取る情報の事実的な正確さに焦点を当てるよう導きます。

  6. 肯定的な感情の接種:気候変動対策に対する肯定的な感情を引き出します​​。

研究者たちは、これらの戦略が気候変動に関するデマ情報への対応にどれだけ効果的かを調査しました。参加者は、実際にTwitter上で気候変動反動派によって拡散された20のデマ情報文を提示されました。これらの文は、初期の検証研究に基づいて選ばれました。参加者は複数のデマ情報文を見ることにより、単一のデマ情報だけでなく、複数のデマ情報に対しても心理的接種が保護に役立つかどうかを評価しました​​。

結果として、これらの戦略の保護効果は小さく、デマ情報への再露出後には失われることが明らかになりました。これは、デマ情報が非常に説得力があり、科学情報よりも強い影響を与える可能性があることを示しています。研究チームは、この分野の研究はまだ初期段階にあり、より効果的な介入方法を探し続ける必要があると結論づけています。

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