【論文】エマルジョンを用いたCoNiCu電析

こんにちは。
『表面技術』2023年10月号を読んでいます。もう12月ですが…
読んだ記事について、気になった部分やポイントをメモしておきたいと思います。

今回読んだ記事のタイトルは「CoNiCuミディアムエントロピー合金電析:電析速度の向上とカーボンナノチューブ複合めっき」で著者は京都大学の村上さん他数名の方々です。

内容

water-oil型のエマルジョンを用いて、CoNiCu合金を電解めっきで形成する技術に関する論文です。

金属イオン濃度を調整して、電析速度をの変化や析出時の膜構造の変化について観察しています。

また、開発した電解めっき技術を用いてカーボンナノチューブの複合めっきにも取り組んでいます。

タイトルの「ミディアムエントロピー合金」は、3~4元系の合金のことのようです(5種類以上の合金はハイエントロピー合金)。
従来材料に比べて高硬度とのことで、そのメカニズムが研究されています。

エマルジョンを用いた電析に関しては、詳しい図が見つけられませんでしたが、実験方法の項目を読むと、エマルジョンを作った液体の中にワークを入れて電析する方法のようです。

おそらく、以下文献の電着塗装と同じ原理で、エマルジョン表面の電荷が陽極表面で失われて、中の水相が出てくることで反応するのだと思われます。

https://kindai.repo.nii.ac.jp/record/1862/files/AN0006353X-19720415-0006.pdf

ポイント

  • 金属イオン濃度が高いほど電析速度が速くなる

  • 濃度40mMまでは析出膜の金属組成は変化しない

    • 80mMだとCoが減ってCuが増える

  • 濃度80mMでは膜質が変化し、膜中にボイドが多数発生する

  • 多層カーボンナノチューブ(MWCNT)をエマルジョンと混合することで、MWCNTを取り込んだ膜を成膜できた(複合めっきに使えた)。

今日は以上です。

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