【論文】INCO法によるステンレス鋼の耐食性向上

こんにちは。
『表面技術』2023年5月号を読んでいます。
読んだ記事について、気になったポイントをメモしておきたいと思います。

今回読んだ論文のタイトルは「電解研磨処理と化学参加・陰極電界処理の併用により不動態皮膜を被覆形成したSUS304ステンレス鋼の耐食性」で著者はアサヒメッキの川見さん他数名です。

内容

ステンレスの耐食性を向上するために、「INCO法」を応用した表面処理技術を検定しています。

INCO法は、酸化物皮膜の膜厚を制御しながら形成し、光干渉効果によって金属表面の色調を変える技術です。この酸化膜を使って耐食性を向上しようという取り組みです。

①平滑性を目的とした電解研磨による前処理条件の検討、②不動態膜の耐食性の検証および耐食性向上メカニズムの考察をしています。

ポイント

  • 電解研磨では粘度の高い電解液を用いることで平滑性を向上している。

    • ワーク表面に形成される粘液層によって凸部に電解集中するため

  • 不動態皮膜なしの場合は急激に孔食が起こるが、不動態皮膜をありの場合は緩やかな全面腐食となる。全面腐食の方が孔食電位が大きくなり、耐食性が向上している。

  • 不動態皮膜の形成モデルでは、局部電池による水和酸化物の多孔質膜の形成と、電解還元で孔部へ水和酸化物析出し封孔される作用が繰り返されることで緻密化する。

今日は以上です。

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