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仕事?なの、得意?なの

私と6つ違い、4つ違いの従兄弟が居る。

そんな従兄たちは、小学生の私が盆と正月にやってくると録画したトトロを見せてくれたり、ファミコンをやらせてくれたりする、優しい人たちだ。
 従兄の危機も従弟は遠方から支援した。
 そして私も、私に出来る手伝いをした…という積極性はなく、各方面に頼まれた。
通称「IT部長」いわゆる「携帯ショップの店員さん」のような、電子機器の扱い方を従兄弟の父母に、おじと、おばに、教える業務だ。
 いや…大っ変…だった。
 

 あまりにも付きっきりだったためか、聞かれたり教えたりする事柄が多岐にわたったためか、「お仕事」として謝礼をいただいた。
 最初は「良いのかな…これ、貰っていいのかな」と思った、が、もう付きっきりだったので、疲れ果て、説明や使い方やら聞かれた事を、ノートにまとめていくうちに、一冊になったし、頭を使い、言葉を変換しているうちに、これ時給だわ、と頂くことにした。

 お金を躊躇う原因は、過去でも「家族親族助け合っていこう」みたいな時は最終的にいつも私に「お願い」されて、理由が曖昧なんだけど…たぶん私しか、いなかったから。
女の子が。
女がやる事、みたいになっていたし。
女の人に言われる「女の子はいいねぇ」は私にとっては私を全否定する「他人からの褒め言葉」だった。

しかしながらそのIT部長の仕事はまさに「お金取れるし仕事出来る」と周りが認識するほどであったのも、有料の根拠になった。

 今までなんだと思われていたんだか、と、感じた。「ほっんと都合良く使われていたな」とも思ったけれど、それは私が捻くれ者のせいか、周りにはあまり聞けないが、現在でもネットの中ではよく聞く話だ。

 若いから出来る。
これも嫌な褒め方、言葉だった。

 わかる、わかるよ?あの頃より確実に歳をとった私にも、出来ないことが増えて来た。
 でも、「必要だから勉強した、調べた、身に付けた」そういうことを、時間を、努力を、「若い」とか「女の子」という理由にする意味がわからなかった。
 出来ない理由は「老いてるから」「ちんぷんかんぷんだから」 
 それもわかる。
 女の子だから、早く結婚するルートに乗せられて最低限の学問しか出来なかった、ってことだって、知ってる。
 知ってるけどやめてほしいから言った。
 その妙な褒め方をするほうは、私が反論しても、気付かない、受け取らない。

 価値観は浸透していく。
 こわい。
 ジワジワ染み込んだ。

 私が使う言葉にも滲み出す時があって、気付いてゾワッとしたり、そんな自分にガッカリした。

 彼氏彼女の事情、という漫画で、宮沢雪野は
「私の頭脳はこの先、何百万もの稼ぎをする、今迄は称賛を得る為その快楽を味わうためにタダで見せていたノート(授業、課題、宿題)を安売りしない」
というような事を言った。
 
 ふわっと読んでいたが、それは、「自分のやりたい事(秀でたなにか)をやる友人たち」と、「勉強しか出来ない自分」を比べた上で、強みは活かそうという雪野の強かさの一部だ。

憧れてる場合じゃない、私には、それが今だ!

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