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デザインの基礎( 後編 )

こんにちは。ADWAYS(アドウェイズ)のデザイナーのタケナカです。

ADWAYSでは、新卒の方やデザイン経験の浅い方に向けて、デザインの基礎知識や考え方を学ぶ場として「デザイン座談会」というものを開催しています。そこで最初に行う座学「デザインの基礎」を前回に引き続き、公開させていただきます。

前編となる前回は、デザインの定義と基本4原則について解説してきました(前編の記事はこちら)。今回の後編では、フォントの選び方と、デザインの引き出しの増やし方について解説していきます。

03. フォントの選び方

実際にデザインをするときに、どの書体・フォントを選べばいいのか、疑問に思うことがあると思います。書体にもいくつか種類がありますが、実はそれぞれ与える印象や特徴が異なります。またフォントによってウェイト(太さ・細さ)も異なり、これもデザインの印象を左右します。


書体の種類

1. 明朝体・セリフ体

素材05_書体1_明朝

明朝体・セリフ体は横画が細く、縦画が太いという特徴があり、毛筆のタッチである飾りも取り入れられています。
与える印象は「大人っぽい」「真面目」「優雅」「上品」「知的」「女性的」などです。書体やツメによっては堅苦しい印象を与える場合もあります。なお、サイズが小さくなると、横画が細くなりすぎて視認性が落ちますので、注意が必要です。


2. ゴシック体・サンセリフ体

素材06_書体2_ゴシック

ゴシック体・サンセリフ体は、縦画、横画とも太さに違いがないのが特徴です。
与える印象は「子供っぽい」「面白い」「楽しい」「親近感がある」「目立つ」「男性的」などです。可読性よりも視認性に優れ、パッと目に入りやすいという特徴があります。


3. 丸ゴシック体・サンセリフ(ラウンド)体

素材07_書体3_丸ゴシック

縦横の太さは均等ですが、画の先端や角が丸くなっています。
与える印象はゴシック体の印象に加えて「やさしい」「ソフト」「ワクワクする」などが挙げられます。日本では標識で見かけることが多く、堅い内容や注意事項も丸ゴシック体を使うことでソフトに伝えられる効果があります。


4. 筆書体・デザイン書体

素材08_書体4_その他

「楷書体」や「行書体」などは、明朝体よりもさらに毛筆のタッチが取り入れられた書体で、より和風なイメージが強くなり、伝統的で古めかしい印象を与えます。逆に若々しく現代的なフォントとして「デザイン書体」と呼ばれるものがあります。これは遊び心や面白さを表現したい時に使われることがあります。


フォントの選び方

1. 書体のもつイメージ

素材09_選び方1

前項の「書体の種類」をまとめると、上図のようになりますので、これを参考に、作りたいデザインのイメージにあった書体を選びます。


2. 選んだ書体から、フォントを絞り込む

素材10_選び方2

例えば、同じゴシック体でも、フォントによって与える印象は異なります。一般的にとがっている部分が多いほど堅いイメージがあり、丸みが多いほどやわらかいイメージとなります。これは他の書体でも同じことがいえます。


3. フォントのウェイト・字間を調整する

素材11_選び方3-1

素材12_選び方3-2

フォントが決まったら、ウェイトや文字間を調整していきます。ウェイトが細くなると「女性的」「かわいい」「繊細」といった印象を与え、太くなると反対に「男性的」「かっこいい」「力強い」という印象を与えます。

字間でも与える印象を変化させることができ、せまいと「活気のある」「元気な」「緊迫感」、広いと「ゆったり」「おおらか」「間の抜けた」といった印象に変わっていきます。


フォント選びのまとめ
・デザインのコンセプト・イメージに合わせて選ぶ
・ターゲット(年齢・性別など)で選ぶ
・ウェイト(細さ・太さ)が柔軟に変えられるものは調整しやすい
・たくさんのフォントを選ばない(使わない)


04. 引き出しの増やし方

さまざまなデザインを生み出すためには、自身のデザインの引き出しを増やさないといけません。では、引き出しを増やすためにはどうすればいいのか……。こればかりは、何かを読めばすぐに引き出しがたくさんできるというわけではなく、日々の行動や考え方が大切になってきます。

ここでは、引き出しを増やすことに効果があるものをいくつか書いていきたいと思います。


本を読もう!
小説などの活字を読み、頭の中にビジュアルを浮かべながら物語りを読み進めることで、想像力が鍛えられます。特に有名な作品は、多くの人の感情を動かした本なので、その理由も一緒に考えることで人間心理も理解でき、一石二鳥です。


美しいものに触れよう!
人々に長く愛される絵画や彫刻などに触れることはとても良い刺激になります。また、なぜ長く愛されているのか、どういった部分が美しいのかを考えることで、人間が根本的に感じる「美」を理解することに繋がります。


歴史に興味を持ってみよう!
人がこれまで辿った歴史を知れば、現代で美しいとされるものの理由をうかがい知ることができます。また歴史に絡む世界の宗教観を知れば、どういったルーツで人々の美的感覚が養われ、世界や日本に普及したのかを知ることができます。


身の回りにはデザインされたものが沢山!
電車の中や、お店、レストランなど、身の回りにはデザインされたものが溢れています。良し悪しもさまざまです。それらを見て、どこが良いのか?(悪いのか?)ターゲットは誰か?制作意図は何か?など、頭の中だけでも構いませんので、目に入ったデザインを分解することは、デザインの訓練に繋がりやすく効果的です。


デザインを集めよう!
本や雑誌などを読んでいて、デザインに惹かれたページのスクラップを作ることはおすすめです。ページを切りとることに抵抗があればコピーでも構いません。スクラップをためていき後日見返すと、自身の好みや変化も分かり、逆に足りないものや苦手なものが発見できる場合もあります。

また、ピンタレストで好きなデザイン・使えそうなデザインを集めたり、日常生活の中で「キレイ」「素敵」と思ったものをスマホの写真などに残しておくと、仕事にも活かしやすくとても便利です。


好奇心を持って、楽しんでいきましょう!
今回紹介した方法は、デザイナー人生を通して引き出しを増やし、成長していくための方法です。しかし、どれもそれほど難しいものではなく、またすべてをいきなり始めなくても構いません。好奇心をもって、楽しみながらやっていただけると幸いです。

さいごに

デザインの上達は、すぐには叶うものではありません。
常に意図を持ってデザインをすることと、
毎日の暮らしの中でデザイナーであるということを自覚して、
好奇心をもって楽しむことが大切です。



以上「デザインの基礎」でした。

ADWAYSで開催している「デザイン座談会」の座学の内容を、前編・後編にわたって公開してきましたが、いかがでしたでしょうか。
デザインの知識・ノウハウは他にもたくさんありますので、興味を持たれた方は、ぜひいろいろ調べてみてください。また、こちらでも機会があれば掲載していきたいと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!



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