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Google認定教師を公認日本語教師に

冒険家の皆さん、今日もほうきに乗って黄金のスニッチを追いかけていますか?

今日は Google 認定教師を公認日本語教師の資格にしてしまってはどうかという話をしたいと思います。

【公認日本語教師】

すでにいろいろなところで報道されているのでご存知の方も多いと思いますが、日本語教師の資格は更新制ではなく一度取ったら一生安泰というものになりそうです。

しかも実習が義務づけられていて、時代遅れな学校で実習することまで義務付けられてしまうと、却ってネガティブなインパクトの方が多くなってしまうことを懸念しています。

まず一点目ですが、僕が日本語教育能力検定に合格した時はまだ行動中心アプローチなど存在しなかった1980年代ですので、当然そのようなことは出題されていませんでした。ですから2021年における環境では僕と同じ歳に検定に合格してその後自分の知識をアップデートしていない人は、かなり時代遅れな実践をしていることが想像できます。

そしてそういう人のいる現場に実習生がやってきて、公認日本語教師になるために必要な指導を受けてしまったとしたら、結局今と同じオーディオリンガルの時代の化石化された実践がそのまま継続されるだけです。

ですので、こうした問題点を解決するには、その試験を受けた時における最新の知識を評価するのではなく、今後も自分の知識をアップデートできるデジタルリテラシーを持っているかどうかを評価したほうが相応しいのではないかと思います。

そして教育界におけるこのデジタルリテラシーをごく簡単に評価することのできる指標の一つが Google 認定教師なのです。


【Google 認定教師レベル1を受験してみた】

なぜ僕がこの試験のことを知っているかと言うと、僕自身が先週の金曜日に受験してみたからなのです。

ハワイのエレナ先生からTwitterで「10ドルで受けられる」と聞いて、まあそれならダメ元でもいいか思って、すぐに検索して受験してみました。

試験は大きく2つのパートに分かれていて、前半は「こういうときどうしますか」というような4択などの質問が多かったです。正しいものを一つだけ選ぶものもあれば、3つ選ぶようなパターンもあります。

後半は、ひたすら事務作業です。ここは「シナリオ」と呼ばれていて、教育現場の色々なシチュエーションでリアルな事務作業を行います。具体的には以下のようなことです。

・メールに資料を添付する
・Google ドキュメントに入力する
・それを生徒や同僚の教師や校長と共有する
・Google ドキュメントにコメントする
・表計算でaverage関数などを使って簡単な成績管理をする
・グラフを作って共有する
・YouTube に再生リストを作ってそれを学習者と共有する

これらのタスクをこなしているうちにわからないことが出てきても大丈夫です。なぜならこの試験はオープンブックなので、教科書を見たりウェブを検索したりしてもいいのです。そういう意味でも非常に現実的な能力を測定していると言えます。

ちなみに、シナリオのタスクは非常に現実的で、個人的には試験を受けているというより、いきなり新しい職場に配属されて新しい同僚や上司や学習者と仕事をし始めたような感覚でした。あまりにも日常的な作業の延長なのです。

試験の結果はすぐに出ます。
僕の場合は夕方に受験して、次の日の朝にはメールが届いていました。
なお、受験した後にブラウザを閉じなければ、そこで結果が表示されるらしいです。僕自身は忙しかったので回答した後にブラウザを閉じてしまったのでその場で結果は見ませんでしたが、Twitterのらいけんさんは待っていたらすぐに表示されたそうです。

受験してすぐに感じたことは、これは合格できるわけないと思っている人ほど受験してほしいということですね。なぜなら、効率的に仕事をしている人の働き方が分かるからです。
こうした体験には、間違いなく受験料の10ドル以上の価値があります。というのも、効率的に仕事ができるようになると、時給の高い仕事についたり、より多くの仕事ができたりするので、10ドルぐらいは簡単に取り戻せるからです。


【どう社会実装するか】

さてこの Google 認定教師の制度は公認日本語教師の制度に組み込むかどうかは別にして、すでに単独で機能していますから、この記事の最初に挙げたようなメリットを社会が享受するのは簡単です。求人する側が今日から採用条件に「Google 認定教師レベル1以上」と記述するだけでいいのです。

採用条件に1行足すだけですから、コストは全くかかりませんよね。それだけでなく、こうしたデジタルリテラシーを持っている人の方が、コピー代などの無駄なコストがかからなくなるので、むしろ組織としてのコストは下げることができるのではないかと思います。

制度の変更としても、日本語学校設置認可基準の中に「教師は全員 Google 認定教師レベル1以上であること」と一行入れるだけで済みます。無駄なコストをかけて新しい試験などを開発する必要はないのです。とても簡単ですよね。そして社会的なコストも一人当たり受験料の10ドルに過ぎません。しかもこの10ドルももともと一発で合格するような人間にとってはコストになってしまいますが、合格できない人が合格するために勉強すればファックスだのプリントだのコピー代だのといった無駄なコストがすべて必要なくなりますから、何万円ものプラスになることは間違いないと思います。

そして冒険は続く。

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【参考資料】
「公認日本語教師」資格の有効期間設けず 学歴も不問 文化庁 (毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20210729/k00/00m/040/157000c

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