見出し画像

VR語学学習アプリ「Mondly」

冒険家の皆さん、今日もラクダに揺られて灼熱の砂漠を横断していますか?

こちらは15ヶ月の待機を経て、ようやく9月3日にインドに赴任できることになり、レオパレスも引き払ったところです。いよいよ冒険の始まりです。そういえば今日は冒険の日だそうで、いろいろな人からお祝いのお言葉をいただきました。ありがとうございます(^^)

さて、今日はヒンディー語の勉強に使い始めた「Mondly」という VR の学習アプリについて書いてみたいと思います。

【これはすごい!】

まず一言で言うと、今までの僕のヒンディー語の学習体験とは全く違いました。このブログなどでもよく書いていますが、僕が今までヒンディー語を勉強するのに使っていたのは、Duolingo というアプリと、 Netflix の動画で勉強する Google Chrome のLLNと言う拡張機能でした。

これは両方ともインプットが中心で、Duolingo のほうには語順を並べ替えるようなタイプの原始的なアウトプットはありましたが、音声でのアウトプットは全くありませんでした。

ところが今回の Mondly では、学習者のやる事は基本的に音声のアウトプットだけです。

と言っても文型練習のようにリピートしたり、代入したりするわけではありません。レストランでウェイターから注文を聞かれたり、電車の中で車掌さんからチケットを持っているかと聞かれたりして、それに答えなければならないのです。

こちらが話した内容は音声認識で判定され、想定範囲内の場合は会話を続けることができますが、うまく認識できなかったりすると、相手から「よく分かりません」とか「もう少しゆっくり話してください」などと言われてしまいます。こういう反応自体ももちろん学習言語で行われるので、最初のうちは会話が続けられない理由もよく分かりません(^^)

僕自身はこれまでいろいろな VR のゲームで遊んだりしてきたので、アウトプットしなければならないという点がこれまでのヒンディー語学習と比べて一番印象の深いところですが、もちろん人によっては VR であるということが衝撃的に思う人もいるかもしれません。

コンテンツは全部で第1課から第8課まであります。 飛行機でその言語の話される地域に入って、電車に乗ったりホテルにチェックインしたりタクシーに乗ったりする一般的な行動に必要な典型的な会話を学ぶことができます。

非常に面白いと思ったのは、初級も中級も上級も、同じ場面で同じ会話がされるということです。それぞれで違うのは、補助ツールがあるかないかです。初級では、相手の話すことはすべて文字化され、こちらの答える内容も全て選択肢の中から選ぶことができます。と言っても選択肢をクリックすれば良いのではなく、選択肢をクリックするとその音声を聞くことができるので、その通りに話さなければなりません。そして前にも書いた通り、それがきちんと音声認識されないと、会話を進めることはできません。

ちなみに、選択肢にない内容でも、意味が通っていれば会話は続けられます。たとえば「どこからいらしたんですか」という質問には「日本」という選択肢はないんですが、それでも「日本から来ました」というと、ちゃんと会話は続きます。

中級になるとこうした補助ツールが少なくなり、上級では相手の音声以外は何もありません。こうなるともうかなり現実のコミュニケーションに近くなりますよね。

【残念なこと】

ここまで良いことばかり書いてきましたが、ちょっと残念なこともあります。

一つはどの言語を勉強しても同じ場面しか出てこないということです。それどころか話し相手のキャラクターも全て同じ3 D モデルです。つまり、言語だけが違うわけですね。ですから当然、僕のようにヒンディー語を勉強している人間にとっては、あまりインドらしいコンテンツではありません。3 D モデルもそのほとんどが白人なので、基本的にヨーロッパの言語を勉強する人たちのために開発されたと考えて良いのではないでしょうか。

もう一つは、相手から職業を尋ねられたりするのですが、選択肢が三つぐらいしかありません。研修生と医者と翻訳家などです。これに該当する人なら何度でも話す機会があるのでいいのですが、あらかじめ設定画面で自分の職業や年齢性別などを入力できると良いのではないかと思います。

性別で思い出しましたが、僕が勉強しているヒンディー語では、男性が話す時と女性が話す時では一人称の動詞の活用が変わります。僕の場合は男性であると自認しているので、男性の使う一人称の動詞を使いたいのですが、このゲームではその選択肢もないので、女性として話すことになっています。 トランスジェンダーの人が毎日感じている違和感を体験してみるという意味では価値があったとは思いますが、語学習得のためにはやはり自分が話したい形で話せるようにしたいですね。

なお上記の活用は選択肢がそうなっているだけで、実際には男性として活用した動詞もきちんと認識されるので、男性として話したまま学習を続けることは可能です。

さて、Mondly は VR の中でも 6DoF という種類の、 VR 空間の中で立ったり座ったり移動したりすることのできる、かなり自由度の高い体験をすることができます。語学学習用の VR としては ImmereseMe というのも有名ですが、これは 3DoF という VR 空間の中で移動できないタイプの体験なので、臨場感に関しては Mondly の方が上ではないかと思います。

VRでの語学学習を体験したことがない人はもちろんですが、音声認識を利用した音声によるアウトプットを中心にした現代的な語学学習を体験したことがない人も、これはぜひ体験してみるべきコンテンツだと思います。ぜひ挑戦してみて、その感想を教えて下さい。

そして冒険は続く。

【ブログ更新情報のメールでのお知らせ】
「むらログ」更新情報のメール通知を希望される方は、こちらでご登録ください。
https://groups.google.com/g/muralog/about

【参考資料】
『異世界転送の用意はいいか: 語学教師のためのVR入門 Kindle版』
https://amzn.to/3sXK7gv

VR語学学習アプリのOculus Quest版がリリース 29ヶ国語を勉強できる | Mogura VR https://www.moguravr.com/mondly-practice-languages-in-vr/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?